早戸です。
年末年始に友人K君(日本山岳会東海支部)と穂高縦走に行ってきましたので報告します。
ずっと行きたいな~と思っていた穂高縦走ですが 去年末はパートナー、仕事、ぎっくり腰など様々な問題により沈殿。
残念な年越しになってしまいました。
今年こそはと思っていましたが、なかなか正月休みをフルで利用できる人が見つからず
12月に入り今年もダメかと思っていたところにK君からお誘いをいただき、即決定。
K君は今年(2016年)仕事を辞め、海外遠征に行くのが決まっている。
非常にストイックで歩きもクライミングも強力なパートナー。
計画書上は何故か(年齢?)僕がCLになっていたが、計画段階から完全に彼がリーダーとして山行に臨みました。
12/29 一日目
僕はこの日、午前中仕事だったのであらかじめ荷物をK君に預けておき職場で直接ピックアップしてもらった。
ロープウェイの最終便は15:30。高速を飛ばして新穂高へ。
駐車場でとにかく荷物を詰め込みなんとかギリギリ間に合った。
山頂駅で荷物をパッキングし直し、西穂高山荘へ。なぜか体が重くバテバテなりながら1時間弱で到着。
その晩は西穂山荘テン場でテントを張り、明日からはあまり贅沢な食事はできないので小屋でおいしいご飯をいただいた。
食事後は次の日西穂を往復する予定で入山していた原田さん、上手さんと宴会。楽しい入山日となった。
西穂山荘のテン場は意外に寒くあまり寝らなかった。
12/30 二日目
3:00起床。4:30頃出発。
寝不足で頭がボーっとしたままテント撤収した。 ヘッデンつけて西穂を目指す。
西風がかなり冷たい。
西穂のピークに着くころには朝日が完全に顔を出していた。
さて、ここからが本番。
天気もいいし一気に穂高岳山荘まで行ってぬくぬくしたいな~なんて思っていましたが
数時間後にそんな望みは粉々に。
西穂山頂から懸垂下降でコルへ降り立ちそこからはルートファインディングの難しい稜線歩きが始まった。
すぐのナイフリッジをK君が先行していたところ信州側で割と大きな稜線雪崩に会い、
K君の片足が持っていかれそうになったのでなるべく飛騨側を歩くことになった。
当初はところどころスタカットで確保していくイメージでしたが悪いクライムダウンとトラバースの連続だったのと、
いちいちロープを出し入れする時間がもったいなかったので途中からはロープの長さを変えつつランニングコンテを織り交ぜて進んだ。
慣れるまで時間がかかったのもあるが、この区間が一番悪かったような気がする。
精神的にも消耗していた上に寝不足もたたってギアをいくつか落としてしまった。反省。。
16:00頃、天狗のコルに懸垂で降り立ちこの日の行動を終了。
穂高岳山荘なんてとんでもなかった。
この日はα米にレトルトハヤシ。
この山行で一番のご馳走でした。
この日のテントは昨日より更に寒かった。
足が冷たくてしょうがなかったので、足にダウンジャケットを巻いて寝た。
寝不足だったせいかその割には眠れた気がする。
12/31 三日目
2:30起床 4:00出発。
先ずはコブ尾根の頭を目指す。
登りはまだマシだったが相変わらず悪いクライムダウンとトラバースが続き、ルートファインディングに苦労した。
コブ尾根の頭手前くらいで、後続の2人パーティーがいるのに気づいた。
後で話たが僕らと同じく槍を目指す予定の関西から来た方だった。
コブ尾根の頭を通過し、ジャンダルムへ。
↑実はものすごく小さいですがジャンダルムの天使が写ってます。
ジャンダルムから懸垂し、ロバの耳、馬の背など怖〜いリッジを通過しようやく奥穂高岳があと少しのところに。
馬の背の通過は視界が無くどこまで地面なのかよくわからないほど真っ白だった。
奥穂高岳山頂。寒かった〜
写真を撮り、穂高岳山荘へ向かう。
ここからは2週間前に涸沢西尾根で来ていたので少し安心でしたが視界が無いので間違い尾根に入らないよう慎重に行動しました。
15:00頃無事山荘に到着。
ホッとひと安心。 前回の山行時にデポした酒、明宝ハム、チョコレート、燃料を手に入れとりあえず前半戦お疲れ様でしたということで宴会スタート。
K君の知人であるチーム猫屋敷の2人に頂いた豪華なツマミも堪能した。
次の日に下山する2人は前半分のゴミなどを持ち帰ってくれました。ありがとうございました。
1/1 四日目
5:00起床 6:30出発
連日の疲れもあり正直このまま寝ていたい気持ちを何とかねじ伏せ、出発。
風は強いが初日の出を拝むことが出来た。
素晴らしい景色。
涸沢岳を越え稜線上からD沢のコルへの降り口が見つからず右往左往。
風が強く寒いのでこのまま涸沢西尾根で下ろうかという気持ちになりかけもしたが
後続の関西パーティーが降り口を見つけ懸垂下降していった。
それに続いて僕らも懸垂下降。
ここから関西パーティーと前後しながら一緒に進んだ。
13:00頃北穂小屋に到着。
昼までに北穂小屋に着かなかったらこの日は北穂小屋までのつもりでしたが、
相談の結果翌日の予報が悪かったのと天気の良い今
うちに南岳まで行ってしまいたいということになり行動続行。
北穂小屋直下の斜面を下っていると前方から単独の登山者が見えた。
話を聞くと今日南岳小屋からここまで来たそうだ。 ということはトレースがある。
それなら時間も短縮できると思い、少し心に余裕ができた。
キレットの下りもそれほど容易では無くロープで確保しながらの行動が続いた。
A沢のコルで15:30。
ここでビバークする案もあったが翌日天気が荒れた場合、ここで1日過ごすのはちょっと避けたい。
日没までに最低コルに辿りつければあとはなんとかなるだろうということで行動続行。
日没間近の南岳への登り。 ここはヘッデン付けての行動になった。
19:00頃、南岳小屋に到着。
ホッとした〜
トイレ完備の快適な冬季小屋でした。
1/2 五日目
朝起きて小屋の外を覗くと強風。
前日の夜よりも風は強くなっていた。 おまけに視界も無し。
とりあえず停滞する方向に。
11:00頃にもう一度覗いたときもあまり変わらず今日は1日停滞することに決定。
停滞中は暇だったのでスマホにたまたま入ってた将棋で時間を潰した。2戦2勝でした。
将棋以外の時間は食事以外はほぼ寝ていました。 疲れからか際限なく眠りました。
1/3 六日目
朝5:00起床。
まだ風が強いが予報では徐々に落ち着く見込み。
テントを撤収し、出発するタイミングを見計らうことにした。
9:00多少風はあるが視界もあるので出発。
良い天気!
快適な稜線歩き。
11:00槍の肩に到着。荷物を置いていよいよ穂先へ。
多少ガスが出てはいたが素晴らしい景色が広がった。
長かった縦走のフィナーレは非常に感慨深いものがあり、なんとも言えない気持ちになった。
パートナーとガッチリ握手を交わし、下山に取りかかる。
下山は飛騨沢を一気に駆け下り15:00頃には新穂高へ着いた。
暖冬とはいえ穂高の稜線は厳しかった。
多くの課題が浮き彫りとなり、意識も少し変わったように思います。
忘れられない山行の一つになりました。