愛知県名古屋市の山岳会・千種アルパインクラブではアルパインクライミングを中心とした様々な山岳活動を行っています

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2009.05.05

春合宿で白馬に行ってきましたので、以下報告します。

【山行期間】 2009年5月3日~4日

【メンバー】 山田(覚)、辻、勝野、岩佐(報告)

【行動記録】

5月3日: 定光寺(5/2 23:00)==猿倉(02:40, 03:15)–白馬尻下1520m付近、テント設営(04:20, 06:00)–白馬主稜–頂上直下雪壁取り付き(12:00, 13:10)–山頂(14:15, 14:25)–大雪渓–△(16:30)
5月4日: △(06:20)–双子尾根上(1800m付近?)(09:30)–双子尾根1930m地点(10:00)–双子尾根上(1800m付近?)、休憩、雪訓–△昼食、テント撤収(15:30, 17:30)–猿倉(18:15, 18:30)–定光寺(5/5 01:30)

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登ってきた稜線を振り返る。豆粒ほどの大きさの後続パーティーが見える。

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稜線上でちょっとひと息。

【報  告】

●5月3日 (晴れ)●

天気予報では合宿3日間のお天気はいまひとつだが、何とか白馬主稜だけでも登りたいという気持ちで2日23:00に定光寺を出発。多治見から高速で一気に豊科まで行き、そこから148号線で白馬へ。猿倉到着後、真っ暗な中をヘッドランプを点けて歩き出す。猿倉荘から林道に出るところで少し迷いながらも、林道が見つかるとテン場に適した所を探しながらのんびりと歩いて行く。沢を渡り北側に斜面をトラバースして少し登った所、白馬尻下1520m付近に手頃な場所を見つけてテントを設営し、06:00に白馬尻に向けて出発した。

お目当ての主稜は雪が少なく、薄茶色になってしまった雪の下から岩が露出して写真で見た主稜とは少しイメージが違ったが、待ちに待った白馬主稜をこれから登るんだと思うとワクワクする。上に行くにつれて雪壁やナイフリッジ、草付き土混じりの斜面と、変化に富んでとても面白い。欲を言えば、今回のようにしっかりと階段のようなトレースがついた5月初旬ではなく、まだあまり人が入っていない4月半ばくらいまでに登れば、更に面白かったのではないかと思う。

強い日差しに肌をジリジリ焼かれ汗をポタポタたらしながら登っていくと、頂上直下の雪壁取り付きに到着。我々の前に3パーティーおり、順番待ちのためにやむを得ず大休止を取る。のんびり昼寝などしながら時間を潰し、1時間10分後に我々の番がやって来た。ここで初めてロープを出すが、取り敢えず雪壁中間部の岩が露出している所まではノーロープで登ることにする。中間部では岩にあったクロモリの残置ハーケン2本でアンカーを作りセルフビレイを取り、山田さんがリードで登り始める。最初のランニングビレイはアンカーを取った岩の直ぐ右上にある岩に残置されていた軟鉄のハーケンで取る。その後、雪壁をやや右上を目指して登り、雪庇下でアックスを使って2つ目のランニングビレイを取り、さらに右にトラバースした所でスノーバーで3つ目のランニングを取る。最後は雪庇を乗っ越して頂上に無事到着した。

山田さんが登っている間、勝野さんから辻さんにアンカー補強のためにもう1本ハーケンを打つようにとの指示があり、辻さんは今回ハーケン打ちの初体験。そうこうしている内に山田さんからビレイ解除の合図があり、辻さん、岩佐の順でタイブロックを使って登り、最後に勝野さんが続く。下から見ていた時には分からなかったが、雪はグサグサで滑りやすく、ところによっては雪の下が凍っており、結構悪い所が数箇所あった。また辻さんが登り始めた時に1つ目のランニングビレイを取ってあった残置ハーケンが勢い良く抜けてしまった。またその後でアンカーのクロモリのハーケン(辻さんが打ったものではありません)も1本あっさりと抜けてしまい、ハーケンという物は引く方向によってかくも簡単に抜けてしまうものか!と驚くとともに、アンカーは最低でも2点から取るということがいかに重要であるかを実感した。

14:15に全員が山頂に到着し、ガッツリと握手を交わす。登攀具を片付けると文字通りの大雪渓を下り(この下りが結構長かった)、16:30に無事テン場に着いた。雪で直ぐにビールを冷やし、テントの中でまずは乾杯。辻さんに用意していただいたボリューム満点の夕食を食べながら、22時頃まで楽しく宴会をし、幸せな気分で床に就いた。

●5月4日(うす曇り)●

昨日白馬山荘で4日と5日の最新の天気予報を確認したところ、二日とも雨のち曇りということだったので、今日は杓子岳を止めて小日向山に登り、その後雪訓をすることになった。昨晩睡眠をたっぷり取ったので、疲れも無く気分爽快。お天気が心配だが、予定通り小日向山を目指して出発した。猿倉まで下るのは時間のロスということで、テン場から杓子尾根と長走沢を横切って南側にトラバースし、双子尾根上に出る。その後小日向山に行く筈が、双子尾根上をそのまま杓子岳に向かって登ってしまったので、1930mくらいの所で登るのを止めて引き返すことにした。中途半端な所で引き返すことにはなったものの、双子尾根に登る時の取り付きの確認が出来たので、これはこれで満足。楽しみは来年に取っておこう。

少し下った所で雪訓に丁度良い斜面を見つけたので、そこでひとまず休憩した後、勝野さんから自然物(木、笹、柴など)、スノーバー、ピッケルを使った支点作りとスタンディング・アックス・ビレイをみっちりと教わる。目からウロコの支点の作り方や、リードが滑落した時にただ制動確保するだけではなく、滑落している間にたるんでいるロープを出来る限り手繰り寄せて落下距離を短くする練習なども行なった。ロープを手繰り寄せる作業は、本来は滑落者を見ながら行なうべきなのだが、ついつい手元のロープに目が行ってしまい、なかなか難しい。折角こうした技術を教わりながらも、雪山のシーズンが終わってしまい、実践は来シーズンまでのお預けとなってしまったのが残念だが、夏山にも活かせるテクニックなども学ぶことが出来たので、今後活用していきたい。

14:30に訓練を終了しテントに戻ると、辻さんが調理して下さった豪華な昼食を食べ、明日のお天気もいまひとつということなのでテントを撤収して下山した。みそら野のエコーランドの湯で汗を流し(23時まで営業していますから、下山が遅くなった時にはお勧めです。料金は600円で露天風呂あり。)、途中伊那-伊那北間で事故のため1時間半の渋滞に巻き込まれながら、5日の1:30に定光寺に到着した。

お天気が心配で、結局2日間の山行となってしまいましたが、本命の白馬主稜にはちゃんと登ることが出来たし、翌日は雪訓で更に新しい知識を得ることが出来て、とても有意義な2日間となりました。CACに入会して一年。この一年は本当にあっと言う間でしたが、中身が濃く大変充実した年でした。来年度はスキルアップと体力アップに努め、徐々にレベルを上げながら色々な山に挑戦して行きたいと思いますので、先輩の皆様、そして同時期に入会した皆さん、どうぞ宜しくお願い致します。
今年一年がどんな年になるのか楽しみです。

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