2015.05.21
ミヤザキです。
今年は雪解けが例年より1ヶ月くらい早いということで、そろそろ錫杖も登れるだろう…と、イボGと二人で「注文の多い料理店」に行ってきました。
果たして注文は多かったのか、少なかったのか。
槍見駐車場6:30-9:00北沢取り付き9:30-14:00登攀終了-14:30取り付き15:00-16:30槍見駐車場
【注文1】5番のカム
二人ともカムは4番までしか持っていない。
なんとかなるだろうと思っていたが、技術担当から「5番が必要。オレも持ってないけど、6番でも代用できるし、貸すよ」との申し出が。
6番?デカいし、じゃまだなぁと思いつつ せっかくなのでありがたく借りていくことに。
【注文2】徒渉
敗退するとしたらここだろう、と思っていたポイントが、クリヤ谷の徒渉。
夏以降なら濡れずに渡れるが、雪解け期の水量はやはり足の踏み場をなくしていた。
徒渉ポイントを探すふりをして、さりげなくイボGに先頭を譲る。
結局いつものところから渡ることになるが、案の定、足を置いた倒木が大きく動いて、激流に転倒するイボG。
早くも濡れてしまったが、「滑って転ぶより、ゆっくりと転ぶほうが安全だよね」とポジティブシンキングを促す。
ミヤザキは片足だけ水流に突っ込んで、転ばずに渡った。
(写真は下山時)
【注文3】雪渓
雪渓があることは予想していたが、どれほどあるかはわからない。
錫杖沢出合に着くと、そこから北沢大滝まで長~い雪渓が繋がっていた。
いつもの林の中のコースは荒れてそうなので、雪渓を登ることにする。
しかし、ここで二人の明暗が分かれた。
その原因である雪山装備を比較してみる。
イボG:(熊本の)厳冬期にも対応するハンワグのブーツ、グリベル12本爪アイゼン、ペツルのサミテック
ミヤザキ:夏用のアディダスのトレッキングシューズ、マウンテンダックスの6本爪アイゼン、ミゾーのチコハンマー
完璧な装備で、上部の急傾斜帯も、前爪を使ってサクサクと安全に登っていくイボG。
一方で、フラットフッティングを駆使し、ときにはステップを作りながら、6本爪軽アイゼンの限界に挑戦することになったミヤザキ。
「ピッケルだけでも交換しましょうか?」というイボGの申し出に「自分の持ってきた装備でなんとかしてこそ登山」と強がってみたものの、結局20分近くイボGを待たせてしまうことになった。
軽量化よりも安全性を重視することで結局は行動時間の短縮になるということが、よーくわかりました。
【注文4】ANP(オール・ナチュラル・プロテクション)
ようやく登攀開始。ここで決めなくてはならないのが、核心の3ピッチ目をどちらがやるか。
最近は一宮の魚なんとかというジムに夫婦で通い詰め、ゴールデンウィークに小川山でもクラックを登ってきているイボG。
一方、クラックどころか外岩どころかジムにもほとんど行けていないミヤザキ。
本チャンで5.9のハング超えのクラックは怖いし 残念だが今回は、やる気満々のイボGにリードを任せよう。
てことで
1ピッチ目、Ⅳ級フェース:イボG
階段状のフェースを見上げ、「これ、Ⅳ級ありますかねー」などと余裕の表情でテイクオフ。
が、岩が外傾していてガバがなく、ちょいちょい濡れているところもあって意外と苦戦。
「あ、残置があった」と躊躇なく残置ハーケンにヌンチャクをかけるイボGに「え?オールナチュプロで行かんの??」とミヤザキ。
「あ、そうですね」とあわててヌンチャクを外すイボG。後に「ナチュプロのナの字は一瞬頭をよぎったんですよ」と言い訳を聞くことに。ほんまか??
【注文5】枯れ木テラス
2ピッチ目、5.8:ミヤザキ
大テラスから左に少し下がり、大フレークからワイドクラック。簡単そうだが、せっかく持ってきたので6番のカムをきめておく。
ワイドから体を出すところで露出間もあって思い切りがいるが、技術的には楽勝。
そのまま左上して行くと枯れ木テラスがあるのだが、3ピッチ目の核心クラックは明らかに真上。
どうするかしばし迷った結果、枯れ木テラスまで登ってピッチを切る。
でもこの判断は間違い。枯れ木テラスからでは、クライムダウンとトラバースから3ピッチ目が始まることになり、核心ピッチなのにロープの流れが悪くなってしまいかねない。
てことで、フォローのイボGには枯れ木テラスまで登ってこずに、ワイドが終わったら直上してもらう。するとすぐ上に自然な終了点が。お地蔵テラス?
しかし枯れ木テラスってなんなんだ。紛らわしいもの作らないでほしい。と文句を言う二人。
3ピッチ目、5.9:イボG
太陽を浴びて、力強くテイクオフ。多めにカムを決めつつ、天井フィストからスタンスをうまく拾って登っていく。
5番のカムがあれば、ここは使いどころだったと思うが、6番では入らない。
最後はレイバックで狭いテラスに上がると、「いやー、ここはいいピッチでしたねー」とイボGはニヤリ。
フォローで登っても楽しいので、リードならなおさらだろう。(だが、譲ったことに後悔はない)
4ピッチ目、5.8:ミヤザキ
出だしからワイドクラックに入るまでがちょっと悪い。しかも、ここに来て初めてクラックの中が濡れている。
ここも5番のカムが欲しいところだが、6番でもたしかにきまる。
高度感があって、絵になるピッチ。ハングに当たったところでちょっと怖いトラバースがあり、終始気の抜けない内容だった。
5ピッチ目:5.7?:イボG
フィストとフィンガーのダブルクラックからフェース、草付き、スラブと快適に登って、ほぼ50mいっぱいで左方カンテとの合流点へ。
左方カンテの最終ピッチを登るかどうか話し合ったが、イボGは左方カンテを登ったことのないので残しておくことになった。
クリフバーを食べながら、「これは実は自転車用の行動食として開発されたんですよ」とドヤ顔でうんちくを語るイボG。ほんまか??
そこから懸垂下降3ピッチで、取り付きへ。
雪渓は午後になって雪が緩んだため、わりと良い状態に。
とはいえ「自分の装備でなんちゃら~」という数時間前の台詞は忘れて、プライドなくピッケルとチコハンマーを交換してもらった。
ズリズリ滑ったり、かかとを蹴り込んだりしながら30分で錫杖沢出合まで。
帰りの徒渉はなんなくこなし、趣向を変えて栃尾温泉の露天風呂・荒神の湯(ぬるい)に浸かってまっすぐ帰宅した。