愛知県名古屋市の山岳会・千種アルパインクラブではアルパインクライミングを中心とした様々な山岳活動を行っています

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2016.03.22

朝日を浴びる北壁。氷のリボンから直接尾根まで見える。右は中央ルンゼに向かうパーティ

朝日を浴びる北壁。氷のリボンから直接尾根まで見える。右は中央ルンゼに向かうパーティ

 

1皮です。西村代表と憧れの鹿島槍北壁に行ってきました。

ルンゼ内は氷結が悪かったものの、完登できました。

【20日】大谷原5:45~8:30荒沢出合~13:00天狗の鼻

【21日】天狗の鼻3:50~6:00カクネ里~7:20正面ルンゼ取り付き7:30~9:40正面尾根のコル~11:00北峰~14:00天狗の鼻14:30~18:30大谷原

 

【初日】

徒渉は2回。1皮はネオプレーンの靴下をはいて渡るが、流れが強く、太もも辺りまでズボンを濡らしてしまう。西村代表はパンツ1丁になり、冷たさに悲鳴を上げていた。荒沢出合から荒沢を上流にちょっと遡り、天狗尾根の傾斜の緩い斜面に取り付く。暖冬の今年は、すでに枯れ葉斜面になったところもあった。尾根に出ると歩きやすくなりスピードアップ。気温は高く、濡れたズボンはすぐに乾いた。尾根上部の第一、第二クーロワールとも問題になるところはなく、順調に天狗の鼻に到着。尾根南側の斜面に、氷のリボンを狙う旧知のKさん、中央ルンゼに行くKさんのテントの横に、私たちのテントを張った。翌日に壁に向かうという緊張感を味わいながら、自家製梅酒をちびちびやりながら過ごした。

【2日目】

2時起床。北壁に向かうパーティの一番手で出発する。が、壁の降り口が分からない。過去の記録などから「最低コルの1つ先のピークを越えたところ」と覚えていたが、壁が急すぎて下りられない。唯一、もっとずっと先の天狗尾根が壁に吸収される辺りが唯一の降り場か。そんな風にうろうろしているうちに他のパーティーが続々とやってきた。以前も来たというKさん・Sさんコンビも、「こんなに奥じゃなかったけどな」と言いながら真っ暗な雪渓をバックステップで下りていった。われわれもすぐに下降とトラバース開始。しかし、2つめの尾根の所で、雪がなくて岩が出ているところにぶち当たり、Kさんらは懸垂してカクネ里に下り始めた。「去年はこんなに高い木が雪から出てなかったけどな」とKさん。積雪が2mぐらいは少ないらしい。われわれもロープを借してもらったm(_ _)m謝謝。70mロープで急な部分を下り、あとはカクネ里まで150mぐらいをクライムダウン。間もなく、北壁に朝日が当たり始めた。日が照りつける前にルンゼに入りたかったが、随分遅れてしまった。

Kさん・Sさんは氷のリボン、Kさん・Kさんの若者コンビは中央ルンゼ、われわれは正面ルンゼ、ここから分かれて進む。この日の北壁は他に、主稜2パーティ(うち1パーティは単独)。北壁をトラバースしているのが見える。カクネ里はデブリがあちこちに。19日に降った雨によるものだろう。主稜の末端を右に回り込み、正面尾根Bリッジの取り付きでガチャを準備。日が燦々と降り注ぎ、すでにチリ雪崩と小さな落氷が絶え間ない。上部にはでかい雪庇があって、落ちるのは時間の問題だろう。準備ができたらすぐ出発だ。

雪壁をダガーポジションで登っていくと、ルンゼは正面尾根Aリッジの取り付きを右に回り込み、南向きの斜面になる。気温は高く、氷はグズグズ。狭くなった部分の氷はかなり立っており、薄い!

すぐにノミックで氷の下の岩を叩いてしまい、先っちょ2ミリほどが欠けてしまった(T_T)。スクリューの歯も曲がった(T_T)。氷の状態はかなり悪いので、ロープを出すことに。でも60m伸ばした先は、雪壁と、薄く雪と氷が乗った岩と草付き。セカンドのビレーは、アックスを雪面に突き刺しただけでビレーポイントとする。まあ、落ちないでしょうという判断で。

そこからは延々と雪壁登りと、わずかな氷。チリ雪崩のシャワーを浴びながら登るが、暑いので気持ちがいいくらいだ。息絶え絶えになりながら、正面尾根のコルに到着。かなり斜めっており、休める場所じゃなかった。そこから右手の中央ルンゼに入って直上。正面尾根が斜面に吸収される辺りから正面ルンゼに入った。雪面は表面が堅く、中は比較的柔らかいものの、安定感はある。頂上に出る直前、60~70度ぐらいの急斜面なのに雪は柔らかくなり、支持力が極度に低下。手2本、足2本でバランスを取り、何とか乗っ越した。間もなく登ってきた西村さんと握手して喜び合った。気温はマイナス10度。北風が強く、すぐに下降に移った。

天狗尾根の下降も良くはない。細いリッジや急斜面をダブスアックスでバックステップで下りるところも。途中、30mの懸垂2回。天狗の鼻まで気が抜けなかった。テントなどを回収し、大谷原までは雪面は階段状に踏み固められ、簡単に下りられた。

正面ルンゼの入り口

正面ルンゼの入り口

カクネ里上部を登る西村さん。右手に主稜末端が見える

カクネ里上部を登る西村さん。右手に主稜末端が見える

ルンゼを右に曲がった辺り

ルンゼを右に曲がった辺り

下から見たのど元付近。氷が薄い

下から見たのど元付近。氷が薄い

アックスを緩く刺しただけの支点でセカンドをビレーする

アックスを緩く刺しただけの支点でセカンドをビレーする

急斜面を気持ちよさそうに登る

急斜面を気持ちよさそうに登る

中央ルンゼ上部

中央ルンゼ上部

カクネ里を眺めながら

カクネ里を眺めながら

北壁から北峰に飛び出す西村さん。北風が強くて、カメラのレンズが中途半端な開きに(^^;)

北壁から北峰に飛び出す西村さん。北風が強くて、カメラのレンズが中途半端な開きに(^^;)

 

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