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涸沢岳西尾根~吊尾根~明神岳南西稜20151229~31

2016.01.02

日暮れ寸前の涸沢岳頂上付近。この直後、突風に襲われた

日暮れ寸前の涸沢岳頂上付近。この直後、突風に襲われた

 

1皮です

岩佐さんと穂高連峰から明神岳を縦走してきました

【29日】新穂高6:30~16:10涸沢岳~16:30穂高岳山荘冬季避難小屋

【30日】冬季避難小屋6:40~7:40奥穂高岳~13:30前穂高岳~15:30奥明神沢のコル

【31日】コル7:00~12:00明神岳2峰頂上~18:20上高地

 

【29日】

新穂高をゆっくり出発

登山指導センター前の駐車場はほぼいっぱい

好天予報の年末年始なので、登山者が多いのか

林道を2時間歩き、白出沢を越えたところから涸沢岳西尾根に入る

林道には10センチ程度の積雪があり、平年より少ないとは感じなかったが

尾根に入るとブッシュがたくさん出ており、寡雪であることが分かる

そこでトップスピードの男女2人組に抜かれる

冬季避難小屋で一緒になったが、わてらより2時間は早く到着したらしい(^^;)

尾根道はトレースばっちり。高速道路状態です

2400m台地でハーネス、アイゼンを装着し、そのまま蒲田富士へ

森林限界を抜けると、天気は快晴。気持ちいいです

 

蒲田富士の登り。右に見える飛騨尾根が荒々しい

蒲田富士の登り。右に見える飛騨尾根が荒々しい

蒲田富士付近は風も弱く、夜にかけて移動性高気圧が張り出してくる予報なので

このまま山荘まで行ってしまうことする

真っ黒なドームを見ながらお散歩気分

真っ黒なドームを見ながらお散歩気分

 

F沢のコルからルンゼを上がり、岩くずの斜面を斜めに登る

疲れで歩きが遅くなったころ、風速20mを超すような北西風が吹き始めた

何度も耐風姿勢で飛ばされそうになるのを我慢する

夕日が雲海の向こうに落ちそう

稜線上でこんな突風に吹かれ、真っ暗になったらやばいぞ

「一歩でも早く」と岩佐さんに叫んで頑張る

山荘が見えた時には、「助かった」と正直ほっとした

小屋には先着4パーティ、8人

それでも、わてらのテントが張れるくらい十分な広さがある

小屋の中は暖かく、強風がゴウゴウと屋根を鳴らす外とは別世界

ありがたや、ありがたや

 

【30日】

奥穂頂上まで往復する2パーティ-に続いて出発

昨日ほどじゃないが、まだ風は強い

ゆっくり歩いて頂上へ。氷点下24度。快晴で気持ちいい

 P1020564_convert_20160104204706

 

前穂方面には、当然のことならがトレースはない

涸沢側には大きな雪庇が張り出しているのが見える

視界が悪いと、ルート取りをかなり苦労しそうだが、今日は楽勝っぽい

「これも日頃の行いがいいからかな」と一人ごちてみる

 

不思議なもので、吊尾根に入った途端に強風が止んだ

斜面はクラスト状態のところが多いのかと思っていたが

積雪は意外にあり、膝ラッセルの場所も多数

雪はこの1~2週間ほどで一気に積もったらしく

弱層はなく安定しているように見える

でも腰~太ももラッセルの急斜面トラバースは

雪崩れると助からないので念のためロープをつけた

腰ラッセルのトラバース。

腰ラッセルのトラバース。

 

ロープをつけて、腰ラッセルの急斜面を渡る

ロープをつけて、腰ラッセルの急斜面を渡る

快適な下り

快適な下り

急な岩尾根が続く。リッジの上をバランスを取りながら歩いた

急な岩尾根が続く。リッジの上をバランスを取りながら歩いた

岩峰の下の急斜面でロープを再びつけた

岩峰の下の急斜面でロープを再びつけた

 

吊尾根から前穂高。

吊尾根から前穂高。

途中の岩峰から少し下りた急斜面で再びロープを付け、岩のリッジまで

あとはゴジラの背のような岩の上を歩いて行った

前穂の斜面は雪の部分を選んで適当に

頂上は雪で覆われ、ケルンが1つ見えていただけだった

前穂頂上から奥穂を振り返る

前穂頂上から奥穂を振り返る

 

頂上は風が強いので、少し下りたところで小休止

吊尾根通過に時間がかかったので、目標にした1・2峰間コルまでは行けそうもない

日が落ちるのと競争で奥明神沢のコルまで行った

途中2カ所ほど悪い下りがあり、ロープを出せば良かったと後悔した

コルの南東側を整地したら、風が当たらない快適なテンバに仕上がった

 

【31日】

朝から吹雪。でも時々青空が見え、視界はそれほど悪くない

明神岳主峰北側の岩尾根からスタート

右から1段上のテラスに上がってルートを観察

ロープなしでも行けないことはなさそうだが、昨日の反省もあり、アンザイレンする

登りだしの最初の数mが悪く、ロープをつけて良かったと思った

50m1ピッチでピナクルビレー

そこからしばらく歩くと、3~4mの急斜面の雪壁が見えた

最後は手前にハングしており、雪庇を切り崩しながら突破

 

雪庇を崩して越える。

雪庇を崩して越える。

 

雪庇の上に上がると、主峰がすぐ目の前に

頂上には行ったことがあるので、右からトラバースして1・2間コルに到着

雪がべったり付いており、悪そう

ロープを付け、左方向に斜めに登り始める

 

II峰の登攀。超悪い。

II峰の登攀。超悪い。

 

東斜面のテラスや、スラブには雪がどっさり乗っており

落としながら行くので時間がかかる

エイリアン2つと、ナイフブレード1本で支点を取った

15m先の残置支点で1p目終了

上から、神戸の女性2人パーティーが懸垂してくるのが見えた

彼女たちはそのまま主峰へ

2p目のクラックには雪と氷は詰まっていてさらに悪い

エイリアンのエイドと残置ハーケンに乗っかりながら行く

上部の緩斜面に移るところで足が攣り、神戸パーティが懸垂して残したロープをつかませてもらった

ありがたや、ありがたや

セカンドの岩佐さんの荷物を荷揚げしてあげた

雪の付着が激しい時は、時間節約のため、トップも荷揚げした方がよさそうです

 

あとはトラバースして行けばいいはずだが

視界がきかないこともあり、3峰の頂上に行ってしまう

今登ったルンゼを100mぐらいバックで下降

その間に、5峰台地からの往復だという神戸パーティが追い越して行った

そのトレースをありがたくいただく

5峰を越えるところも、リッジに乗ったり、トラバースしたりで、トレースがなかったら苦労しただろう

 

5峰台地で小休止

午後3時半で、日暮れまであと1時間ほどしかないが、このまま下ることにする

台地から細い尾根に入るところで少し迷ったが

何とかトレースの跡とテープを見つけることができた

途中でラテを付け、岳沢の縦走路に着くことには真っ暗になっていた

上高地でタクシー会社に電話すると

大晦日の夜なのに、釜トン入り口まで迎えに来てくれるという

ありがたや、ありがたや

新穂高までのタクシー車内は温々。やっと下りてこられたとうれしくなった

 

終わり

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