2014.08.25
位田です。
遅くなりましたが、8/21(木)に斎藤さんと左方カンテに行ってきましたので、報告します。
もしかしたら午後からは天気が崩れるかもしれないから、早めに出発しましょう、と言っていたのですが…。
前夜発で到着、少し仮眠をし、そこからさらに二度寝をし、駐車場出発は6:00。
駐車場には他の車は1台もなく、左方カンテはもちろん貸し切り、もしかしたら錫杖岳自体が貸し切りだったかもしれない贅沢をしてきました。
二人とも夏の左方カンテは初めてで、アプローチやらルーファイやら残置がなくなっていることやら、色々不安ではありましたが、無事に登り切って楽しんでくることができました。
まずはアプローチですが、とてもわかりやすく、前衛壁基部に着いて左に行くと注文方面、左方カンテは右に行かなくてはいけなかったのですが、北沢を詰めると思い込んでいたために、一度は左の注文方面へ進んでしまいましたが、どうはやら違うらしいと斎藤さんが気づいてくれて、早めに修正、基部まで戻ったら、すぐに左方カンテ取り付きに着くことができ、まずはアプローチが無事に終了。
今回は、カムは2セット持っていきたい、ナッツも1セット持っていく、という防御クライマー仕様でしたので、ザックを1つにまとめてフォローが担ぐ作戦にしました。
もちろんアプローチシューズも取り付きに置いて出発です。
1P<位田>
チキンな私は、なんとなくいつも最初に登るのに尻込みをしてしまうのですが、3P目をリードしてみたかったので、逆算したら当然私から…。
Ⅲ級のルンゼで、確かに残置はなかったですが、カムが極められるので、まずは楽しくアップになりました。
まだ感覚的にロープがどれぐらい出ているか感じられないのですが、そろそろかな~なんて思っていたら、ちゃんとした支点があって、噂どおりでした。
2P<斎藤>
そのままルンゼを繋げる感じでした。
夏合宿で代表のナッツ講習を受け、翌日にはナッツを購入していた斎藤さん。
ナッツを積極的に使ってみて登る、という姿勢で臨んでいました。
1個目のナッツを極めた後、反対側の同じ高さにカムでバックアップを取っている姿を見て、つい「だったらナッツいらないんじゃない?」なんて突っ込んでしまいましたが、早くもこのピッチでナッツのコツをコツを掴んだようでした。
フォローの私は初のナッツ回収で、落とさないように回収するのに手間取ってしまいましたが、ナッツの回収ってカツーンって感じが気持ちいいですね。
2P目リードの斎藤さん。
ナッツ多用してましたね。
3P<位田>
事前に早戸さんから「ルーファイが肝ですよ~」とアドバイスをいただいていたので、確かにそのまま上に行ってみたい気持ちを抑えて右にトラバース。
薄~いハングをガバで乗越したら正解でした。
けど、あとで斎藤さんから、「ランナーの取り方を見て、どっちに行こうか右往左往してすごく悩んだのがわかるわ~」と言われてしまいました…。
確かにここのピッチは残置がないのでどのラインを登ればいいのか不安だったし、多分精一杯で落ち着いてカムを極めるところを選びきれていなかったので、取れるところでとりあえず取ってみてちょっと登ってみる、なんか行けそうかも、の繰り返しで、時間がかかってしまいました。
右にトラバースしてガバガバをガシガシ上がると終了点。そこから下を見てみたら、結構な高度感なんですねぇ。
4P<斎藤>
私はこういうの苦手です…。
落ち着いて登ればいいのでしょうが、ちょっとクラックやチムニーの匂いがすると、すぐに苦手意識が出てきてしまって、登ることと回収で精一杯で、リードだったらどこに支点取ろうか、とかそんな余裕はなかったですね。
個人的にはここよりも3Pのが簡単でした…。
4P目リードの斎藤さん。
ナッツ大活躍してましたね。
5P<位田>
ここのピッチも早戸さんから、「出だしがランナウトするから気を付けて」とアドバイスをいただいていたフェース。
見るからにガバやガバカチなのですが、確かにランナーが取れそうにない…。
慣れないナッツを初めて使ってみる…、が極まらない。
けど、なんとかカムを極めたり、比較的新しいハーケンを見つけてしまい、遠慮なく使用させていただきました。
ここはメンタル核心ですね。
ここのピッチまでにナッツが上手に使えるようになっておけばよかった、と後悔しました。
ちょっとした立木を通り過ぎてさらに上がって終了点。
この木で支点を作ってしまいたくなるところを、もちょっとあがると、ちゃんとペツルがあって、注文と合流するテラスに出られました。
6P<斎藤>
もう文句なしに、左方カンテの核心はこのピッチだったと思います。
出だしは木登りするか、右のフェースから行くのか、まずはそこから悩み、チムニーからハンド~フィストクラック、フェイスになり、ようやくカンテに出て、そこからのフェースも高度感一杯で、下部の悪いところを抜けてきても、まだまだ幸せがやってこない。
そんな変化に富んだピッチで、ずーっと気の抜けないピッチでした。
事前にそのような情報がなく、トポでもⅣ+だったのでそんな心づもりはなかったのですが、フォローでも一番痺れました。
もし次にまた左方カンテに行くことがあったら、ぜひ次回はリードでトライしてみたいピッチでした。
「写真映えするね~」とのんきな私と、「赤張り気味で~」とか「黄色張り気味で~」とか、温度差があったかもしれない6P。
7P<位田>
5Pを終わったところで、斎藤さんはクラック系担当、私はフェース系担当で、「私たちきっといいコンビが組めるわ!」なんて私が一方的に言っていたのですが、ここのフェースは悪かったです。
痺れるほどではないけど、私ではナッツが極められない、フレークは今にもはがれそう、落ちないとは思うけど、最後なんだからチャチャっとテキトーに、って感じではなかったです。
せっかく斎藤さんにナッツの回収を体験してもらいたかったのですが、どうやら「手で外れたよ~」らしく、私は今回はナッツはまだまだ掴めていなかったようです。
ガバはガバなんですよ。豊田を思い出せば強気で行けたかも。
8P<斎藤>
7Pを登って終了点に着いて、なんとなくもやもやする私。
「これで終わりでいいのかな~。なんかすっきりしないんだけど。気持ちよく終わった感じがない」とボヤく私。
というわけで、ここから灌木混じりの斜面を抜けていき、灌木でビレーをしてもらい、そこに辿り着き、そのままもちょっと進んで行ったら…。
斎藤さん「どうする~?なんかある?ここで終わっとく?」
私「いやいや、絶対ここまでは来たほうがいいよ~」と。
山頂ではないものの、素晴らしい草付の斜面から、展望が開け、大満足。
ここでようやく納得の登攀終了。
「おつかれさま~」と握手を交わし、あらかじめ設定しておいたリミットの14時を過ぎていたので、急いで下山。
懸垂の繰り返しでした。
が、連続懸垂の手順とコツがまだまだ掴めておらず、そのことで精一杯。
「帰りに注文見てくるといいですよ」と言われていたのに、注文のルートがどこかわからず、とりあえず安全に懸垂すること優先。
というわけで、無事に全8Pを登り終え、18時に駐車場に戻ってきました。
二人の感想としては、「もうちょっと簡単だと思ってたけど、なかなか頑張りが必要で、簡単すぎず難し過ぎず、ちょうどいいルートだった」ということでした。
初めて組んだ二人でしたが、貸し切りということもあって、なおさら二人で成し遂げたという達成感が強く、とてもいい山行になりました。
駐車場でギアの整理をしていたら、一日雲で隠れていた槍穂がピンクに染まって現れて、しばし見とれてしまいました。
こんな写真じゃちっとも伝わらないですが、一瞬言葉を失うぐらい綺麗でした。
頑張った御褒美で~す。
次回は注文にトライしたいですが、それまでにクラック特訓と、ナッツを使いこなせるようになっておくのが、この冬の課題です。
そうそう、結局ギアはカムは1セット、ナッツは使えたほうが断然よい、ですね。
残置もまぁ使いはしたけど、ないから困る~、ありえな~い、とかそういう感じではありませんでした。