愛知県名古屋市の山岳会・千種アルパインクラブではアルパインクライミングを中心とした様々な山岳活動を行っています

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2014.10.29

岩佐です。

錫杖で、左方カンテから烏帽子岩東肩ルートの継続登攀をしてきました。

 

【メンバー】上手、岩佐

 

【記 録】

2014年10月26日

槍見P 3:25 ~ 5:15 左方カンテ取り付き 5:55 ~ 9:55 左方カンテ終了点 10:25 ~ 12:22 烏帽子岩東肩ルート取り付き 12:45 ~ 14:40 烏帽子岩頂上 15:00 ~ 18:00 西肩コル下 18:45 ~ 20:20 クリヤ谷登山道 ~ 21:45 槍見P

 

【報 告】

冬山シーズンになる前に日帰りで良いのでもう一度どこか登りに行きたいと思い、上手さんを誘ってみたら、OKとのこと。以前から錫杖左方カンテを登りたいと聞いていたので、ルートは左方カンテに決定。ただこれだけではちょっと寂しいので、烏帽子岩の東肩ルートとくっつけて継続登攀の計画を立てた。

 

私は前日5時起き、出発前の仮眠も1時間半程度しか取れず睡眠不足。上手さんも睡眠は殆ど取っていないとのことで、槍見駐車場に着いたら二人とも睡魔に負けて15分程寝る。できればあと2、3時間は寝たいところだが、左方カンテは混むので、眠いのを我慢して3時25分に出発した。

 

取り付きに到着した時はまだ真っ暗で、我々が一番乗り。明るくなるのを待って直ぐに登攀を開始した。上手さんからスタートして交替で登り、4P目で追いつかれたガイド山行パーティーに先を譲って、2番でルート終了点に到着した。左方カンテを登るのは今回が4度目だが、本当のルートてっぺんまで登ったのは今回が初めて。終了点の草原はとても気持ちよく、紅葉ピークの新穂高側の景色が素晴らしい。

錫杖141026a

錫杖141026b

錫杖141026c

 

行動食を食べて少し休憩した後、烏帽子岩に向けて出発。前衛壁から烏帽子に行くのは初めてで、プチ冒険にちょっとワクワクする。暫くは踏み跡を辿るが、途中で踏み跡が左右2つに分かれている。右側は途中で踏み跡が消えており、その先を覗いてみると絶壁で先に進めそうもない。左側(北沢側)にはバンドがあるが、その先がどうなっているのか分からない。やはり右側が正しいのかと、もう一度行ってみるが、やっぱり違う感じ。右に左に行ったり来たり30分程ウロウロした後、北沢側のバンドを辿ってみることにする。

 

このバンドは幅が狭く、下まで切れ落ちている。ミスは許されないのでロープを出し、確保してもらって先まで行ってみる。途中から急斜面の木登りで上がっていくと、P2のてっぺんに出た。ここから両側が切れ落ちた稜線を伝って、東肩ルート取り付きに到着した。

錫杖141026d

P2側から見た烏帽子岩。右の階段状の所が東肩ルートの一部。

錫杖141026e

東肩ルート1ピッチ目。岩はもろい。

 

東肩ルートの登攀は、1P目、3P目、4P目を岩佐、2P目、5P目上手さんで烏帽子岩頂上に到着。取り付きまでのアプローチで若干時間をロスしたため、予定より遅れて到着したが、あとは2ピッチの懸垂下降なので、19時くらいには槍見駐車場に戻れるだろうと思っていた。
しかし、そんなに甘くなかった。。。

錫杖141026f

錫杖141026h 東肩ルート最終ピッチ

昨年曽我さんと東肩ルートを登り西肩側に懸垂下降した際に、2ピッチで降りられることが分かったのだが、昨年あった懸垂支点の残置スリングが無くなっていた。たぶんこちらの方向だろうと思われる所で、這い松に懸垂支点をセットして下降開始。途中2ピッチ目の懸垂支点となる太い松の木がある筈と、注意しながら降りていくが、見つからない。15mほど降りた所で二人の体重を支えられそうな這い松があったので、一旦ここでピッチを切る。

 

ここから2ピッチ目の懸垂下降をするが、どうやら本来の懸垂地点よりもやや西寄りに降りてしまったようで、昨年見た2ピッチ目の支点となる松の木(たぶん同じ木)が随分右側にある。振り子トラバースして移動できたものの、この場所からロープを回収するとなると、ハングの左側の角に当たって回収はできそうもない。昨年の経験から、この松の木から降りれば、ロープがある程度余る状態で懸垂下降できると記憶していたので、2ピッチ目の懸垂支点の這い松からならば下に届くはず。下を覗いてみるとロープが地面まで届いているのかどうかは分からないため、取り敢えず降りてみることにする。

 

ロープが下まで届いていないことも考え、途中懸垂支点が作れる所がないか見ながら下降するが、適切な場所が見つからない。30mほど降りた所から下はハングしており先が見えないため、降りてみないことには分からない。下降してみると、なんと地面から6、7m(?)位の所にロープの末端があり、下まで届いていない。ハングしているため、クライムダウンもできない。ロープスリングがあれば、ロープに結束して降りることも可能なのかもしれないが、自分の手持ちは既に2本を使ってしまい。残り1本のみ。あとは上手さんが持っている。となると登り返してどこかで支点を作って下降するしかなく、ハングした壁を宙ぶらりんの状態で登り返す。

 

2つのルートを登って体力を使った後の登り返しは堪える。登っても登ってもロープが伸び、なかなか高度があがらず嫌になる。やっとの思いでハングを越えると、しんどいロープの登り返しから立った壁のホールドを掴んで岩登り。アプローチシューズなので登りにくいが、ロープ登りよりはマシか。支点が作れそうな所を探しながら登って行くと、左側に直径4㎝ほどの幹の這い松があるが、一人の体重を支えるのが精一杯。這い松を補強するためのリスやクラックも見つからないので、諦めて更に登る。すると右側にクラックを発見。自分が持っているプロテクションは、ナッツとキャメロットのグレー、C3の黄色と赤のみ。あとは上手さんのザックの中。手持ちのプロテクションを使えるのはクラックに挟まった何となく不安定な岩の両脇にあるクラックのみ。それでも一人だけならば支持力がありそう。取り敢えずC3の赤とナッツで支点を作る。その40㎝ほど下はしっかりとしたクラックで、カムの3番があれば懸垂下降ができるちゃんとした支点が作れるので、上手さんに降りてきてもらう。降りてきた上手さんに懸垂の仮固定をしてもらってキャメロットを受け取り、3番をセットして支点を補強。(いつか回収に行かなければ。。。⇒15/09/12に全て回収。) やっと下まで懸垂下降することができた。ギアを片付け行動食を食べて暫し休憩した後、真っ暗な中をヘッデン点けてクリヤ谷側に猛烈な笹薮漕ぎで下った。登山道に出てホッと一安心。あとは槍見まで、熊に遭遇するのを避けるために二人交替で笛を吹きながら下山した。

 

毎回山に行くと思うことだが、懸垂下降は本当に怖い。良く登られている半ばゲレンデ化したようなルートならば、しっかりした懸垂支点があることが多いが、あまり登られていない烏帽子岩のようなルートや古い残置しかないクラシックルートの懸垂下降は、一つ間違えれば命懸け。アルパインクライミングは本当に面白いけれど、一歩間違えれば命を落とすことになる危険な遊びだと言うことを改めて痛感した山行だった。また、こういった不測の事態に備え、先に懸垂下降をする者は、ある程度のギアを持っておかなければならないと思った。

 

そんなわけで、情けない終わり方となったが、とにかく無事に下山できて本当に良かった。まだまだ自分は未熟であるということを思い知らされたが、色々と勉強になった山行だった。
要修行!
下山が遅れ、会の皆様にはご心配をおかけしました。

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