愛知県名古屋市の山岳会・千種アルパインクラブではアルパインクライミングを中心とした様々な山岳活動を行っています

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2014.09.25

7月に入会しました酒井です。

今回は同じく9月に入会した岑山さんと宮崎さんの3人で、南山ゲレンデへ練習に行ってきましたのでご報告します。

 

先日も宮崎さんと吉川さんに付き合っていただき、ビッグロックでロープワークの練習をしましたが、外岩へ行くのはこの日が初めてです。

天気も良さそうで、とても楽しみにしていました。

当日は宮崎さんの車に拾っていただき1台3人で現地へ。岑山さんは道中ずっと喋り通しです。人見知りとは無縁のタイプですね。

到着すると別の山岳会のグループが10数名来ており、平日でもそれなりに賑わっていました。
■練習内容

AM(9:00~12:15)
・ロープワーク基礎
・タイブロックの使い方
・ロープの結び方(8種類)
・支点構築
・フォローでのクライミング(男岩)
・懸垂下降(バックアップ付)

PM(~17:00)
・リード&フォローを新人2人で各1回(男岩)
・フォローでのクライミング(女岩)
・リードクライミング、セカンドビレイ、サードビレイを1回ずつ(女岩)
・懸垂下降(バックアップ付)4回

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クライミングの実践では、私が外岩経験なし、岑山さんもビレイ経験は何度かあるもののクライミング経験はなし(勘のいい人はお察し)という状況のため、もう2人とも必死です。

男岩から女岩に移った一本目、リードは宮崎さん、フォローで私、続いて岑山さんの順で登りました。

見た感じはそれなりに傾斜してるように見えるのですが、実際に登ってみると壁のように感じます。
最後の方で行き詰まってきてルートを探していると「チョークの跡見つけて」とのアドバイス。
なるほど!とその通りたどりながら、なんとか登ることができました。

続いて岑山さん、姿は見えませんがビレイヤーの手捌きから順調に登ってきているようです。
しかし女岩は我々初心者にはなかなかの難敵で、岑山さんも途中から手を焼いているよう。
宮崎さんは内心ギブアップするかもと思っていたようですが、ちょうどその時にぐいっと姿が見えてきました!

まさに鬼気迫る表情。((((;゜Д゜))))
宮崎さんが小声で「酒井さん、写真、写真」と囁きますが、カメラ持って登る余裕もなく撮れません。

「熱い…熱い…」と呟きながら登ってくる姿には、終始にこやかだった岑山さんの面影はなく。

どうにか登りきり、生存本能が感情を高ぶらせたのか軽く興奮状態の岑山さん。

「必死ですよ!」なぜか怒られる宮崎さん。

とっさに空気になりきる私。

が、すぐにつかまり、身長が高いのはずるいと怒られます。そんなん言われても…。

その後、女岩でリードを一本させていただき、この日の練習は終了。
とても充実した一日になりました。
練習を終え名古屋へ帰ってきた頃にはお腹の空く時間になっていたので、3人でご飯へ。
宮崎さんはお酒を飲みたそうでしたが、運転なので飲めないということで、食事は宮崎さんのリクエストを聞こうとエスニック系に決定。

岑山さんが家の近くに「スリランカ料理」があると教えてくれ、そこへ行くことに。
着替えてから向かうという岑山さんを置いて、先に宮崎さんとお店に向かうと「インド&ネパール料理」と書いてありました。
どうやら彼女にとってアジアは全部スリランカのようです。

みんな揃い、オーダーの時に誰もお酒を頼まなかったので、宮崎さんが遠慮しないでと促し、岑山さんがすまなさそうに生ビールを注文していました。
でも思うところがあったのか、店員を呼び「やっぱり生ビールなしで」と。

奔放そうなのにそういうところもあるんだなーと思っていると、続けて「コロナビールに変更で」と。私のような小物にはない強いメンタルをお持ちです。

結局、クライミングの話などで2時間以上盛り上がった後、帰宅となりました。

宮崎さんには道具の購入からビッグロックでの練習に続き、お世話になりっぱなしです。
本当にありがとうございます。

また、こんな新入会員にお付き合いいただける方がみえましたら、是非よろしくお願いします!

2014.09.23

岩佐です。

大変遅くなってしまいましたが、14・15日の岩佐・早戸パーティーの報告と、今回の山行の総括報告を致します。

■岩佐・早戸パーティー: 北条・新村ルート報告■

上高地からのアプローチおよび登攀詳細については、原田さん・宮崎さんから既に報告していただいておりますので、省略させていただきます。

我々のパーティーは、岩佐リードで登攀を開始しました。核心の4P目は早戸さんがフリーでリード、5P目は岩佐がリードしましたが、本来ならばピナクルテラスから一段下がって右にトラバースするところを、判断を誤りピナクルからそのまま真横にトラバースしてしまいました。右に行けばいくほど悪くなり、4つ目の残置ハーケンにヌンチャクをかけた途端ハーケンがいとも簡単に抜け、その拍子に8mほど墜落。岩を登り返そうと試みましたが、若干かぶっており思うようにいかず、プルージックとタイブロックを使って支点まで登り返しました。墜落前に、抜けたハーケンの手前の残置ハーケンのすぐ隣にあったリスに念のためにナッツをきめておいたのですが、このナッツのお蔭で更に墜落することを止めることができたようです。北条・新村ルートが開拓された時は、クライミングシューズではなく登山靴で登られたということを考えれば、私が取ったルートは明らかに間違いであったと、もっと早く気づくべきでした。完全なる私の判断ミスです。

009早戸さん、核心ピッチリード中

 

登り返した後、アンカーを作るためにハーケンを1本打ち足しましたが、墜落で既にナッツに衝撃がかかっていることと、いつ抜けるか分からない残置ハーケンに1本新しいハーケンを足しただけではアンカーとして不安があったため、小さいものの足場もある左側に移動してアンカーを作り直す旨早戸さんに告げ、そちらに移動。上部のピナクルにスリングをかけてアンカーを強化し、早戸さんにアンカーまで来てもらいました。そこから早戸さんにバトンタッチ。私は墜落で右足を負傷したため、その後の2ピッチも早戸さんにリードをお願いし、登攀終了。18:30近かったと思います。

016岩佐墜落地点からのピッチ

 

我々が5ピッチ目を登る時点で既に17時を回っていたため、斉藤・宮崎パーティーは登攀を中止し、懸垂して奥又白池に行くとのこと。登攀終了後何とかビバークできる場所を探してツエルトを張っている時に、早戸さんから奥又を横断するヘッドランプ2個を見たと聞き、無事に懸垂下降できたのだと知ってホッとしました。(実はこれは別のパーティーで、斉藤・宮崎パーティーはハイマツテラスでビバーク。)

我々がビバークした場所は斜めになった非常に狭い所で数歩先は切れ落ちていたため、寝ている間に落ちないようにそばにあったクラックにカム2本をきめてセルフビレイ。狭いので寝返りを打つこともままならず、足も伸ばせずに膝は曲げたまま。シュラフカバーに入ることも出来ずに寒い思いをして一夜を過ごしました。   寒さのあまり2時前に起きて火を焚き、ゆっくりと朝食を取りながら明るくなるのを待ちました。夜が明けるとツエルト撤収。昨晩から他のパーティーとの連絡を試みましたが結局連絡はつかずじまい。昨日登攀できたのは我々1パーティーのみで、状況から判断して他のパーティーは直ぐに上高地に下山すると考え、早戸さんと相談した結果明神縦走は断念して北尾根~前穂山頂~重太郎新道経由で出来るだけ早く下山することに予定を変更。12時過ぎに上高地に到着しました。   3時頃曽我パーティーが上高地到着。5時半には斉藤パーティーも無事下山し、沢渡に移動。駐車場の隣にある温泉で汗を流し、帰途につきました。

■総 括■

今回は反省すべき点が多く、課題を残した山行となりました。以下箇条書きでまとめます。

1.複数パーティーで異なるルートを登攀する場合、特にメンバーに初心者が含まれる場合は、無理をせずに定着式にして一日の終わりにベースに戻ってくるようにした方が良い。

2.緊急事態が発生した時の対処の仕方が決められていなかったため混乱を招き、曽我パーティーのメンバーの皆さんに大変な心配をおかけした。予定通りに合流できなかった場合の連絡方法や、連絡が取れなかった場合にどうするのかを予め決めておくべきだった。携帯では連絡が取れなかったため、無線の利用を検討する必要あり?

3.登攀はできるだけ早く開始することが大切。初日に取り付き到着が予定していた時間よりもかなり遅くなってしまったが、その時点でメンバーの体力等も考慮し、同日の登攀はやめて奥又白池で待機、翌日登攀するという選択もあった筈。

4.CLはその時の状況でベストと考えられることを基に判断をするため、CLの指示に従うことは重要。

5.アルパインは、まずは体力。日頃から体力トレーニングを行なっておくこと。

6.荷物を担いでの登攀では、極力軽量化に努めること。

7.登山は歩くのが一番遅い人にペースを合わせるのが基本。それを考えると、今回の計画は若干欲張り過ぎ・無理がある内容であった。また、事前に参加メンバーの体力を把握しておくべきであった。

8.当たり前だが、残置ハーケンはいつ抜けてもおかしくないことを忘れないこと。

9.ルートファインディングの力を養うこと。

他にも各自反省点があるかとは思いますが、今回の山行で経験したことを次回からの山行に活かしていただければ幸いです。様々な事情から3パーティーがバラバラになってしまい、皆で前穂北尾根~明神縦走が出来なかったのはとても残念でしたが、個人的にはこれまでに一緒に山に行く機会が無かった皆さんと行動することで、山に対する考え方などを知ることもでき、有意義な山行となりました。今後の皆さんの活躍に期待します。

2014.09.20

こんにちは ハラダです。

ミヤザキさんに引き続き、曽我チーム(曽我さん、上手さん、原田)の9月14日~15日の前穂・四峰の投稿をいたします。

□9月13日(土)

夕方より沢渡へ向けて、出発し、曽我車と23時頃合流。

岩佐さんの手料理を振る舞って戴く。パテだとか、洒落た料理である。焼酎で食べるにはもったいなかった。

軽い宴会を終え、日付を越えた、0時半頃、明日に備え、そそくさと寝に着く。

が、テントを張った場所が駐車場の近くであったため、車中泊の車が、エンジンをかけっぱしで寝ていたり、

星空を見上げ、カシオペア座で盛り上がっていたりで、皆、あまり良い睡眠は取れなかった。

□9月14日(日)

4時半起床、5時よりタクシーに乗り合わせ、上高地入り。

5時15分頃、上高地より行動開始。

ちらりと目的地、前穂が見えている

ちらりと目的地、前穂が見えている

 

8時中畠新道分岐、休憩、水分補給の上、8時20分頃、発。

急登、ガレ場、雪渓を経て、

12時頃 四峰正面壁、取り付きに到着。

6時間に及ぶ、アプローチであったが、ここのところ頻発していた「黒戸病」、いわゆる膝、足痛は発生せず、やはり、黒戸尾根ならではの黒戸病であったのである。

しかし、黒戸病は、取り付きまでの到着を遅らせたことは否めなかった。

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こんな頃より、日は差さず、曇空となってきた。

ここまでが、共同の行動であったが、ここからはチーム曽我の行動開始である。

他の2パーティとは異なり、我らは、松高ルート。

結果として、取り付きなど、ルートはわかったが、

以前の頃とは異なり、あまり登られていないようで、わかりにくく、

曽我さんは北条・新村の取り付きから攀っていく。

ここの取り付きにいたことが、今回の分かれ道となった。(ミヤザキ氏による確保器顛末記参照)

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何度も探り探り、ルートを探すが、松高ルートは判別できない。

ややもすると、時間も14時半ともなった。

「今日はもうこんな時間だし、奥又白池に戻りましょう」ってことになり、

下りたくないアプローチを時間をかけながら、ゆっくり下っていく。

そんな中、下りながらも他のパーティの様子を振り返りながら、みていると、

皆、全く動かない。

特に黄色のザック(宮崎)が目立つが、壁に張り付いたままである。

その間も1時間以上。

少し、岩佐さんの声も聞こえる。

そして、岩佐さんが降りてきているように見える。

原「黄色のザックがずっと同じ場所にいますぞ」

曽「そうですねぇ」

上「なにかあったんじゃないですか!」

そんなやりとりを経ながら、奥又白池に、5時過ぎに到着。

夕方の奥又白池

夕方の奥又白池

この景色は、他のパーティーが見ていない楽園たる風景であろう。

到着し、ツェルトを張っていると、ほろ酔いになっている他のテン泊の人々が、

Q「登ってきたんですか?」

A「取り付きまで行っただけです」(苦い)

Q「あのまだ壁に張り付いているパーティ、どうしたんですか?」

A「・・・」(苦しい)

Q「何何?」

A「私たちの仲間です」(またまた苦しい)

そして、日も暮れて、四峰正面壁を見ると、

上層に2つ、下層に2つのライトが灯り、4つある。

「生きているぞ!」「ビバァーク」しているぞと、希望の灯火が点いた♪

皆、無事なんだ!みんなガンバレ!

そんな気持ちをよそに、「夜飲んだウィスキー、めっちゃうまかった」(若頭談)

そして、

ツェルトの中で、お酒も飲まず、食事を取った後、

リーダー曽我さんより、

「明日は、朝一番から救助に向かう!なるだけ、空荷にして、いくように」

上・原「OH!」

となり、4時半起床。5時出発の予定で、8時には横になった。

寝たのか、寝られてないのかの夜を送り、

□9月15日(月・敬老の日)

そして、朝を迎えた。

予定通り、5時頃に出発。

朝焼けの前穂高岳

朝焼けの前穂高岳

この日の日の出の景色は、最高に綺麗であったが、記録には残せなかったが、私の記憶には残してある(笑)

7時頃、北条・新村ルートの取り付きに到着。

皆の名前を腹一杯の声で、呼びかけてみる。

「いわさーん」「早得ーん」「ねえさーん」「どげんかー」

しかし、なんの返答もない。

そこで、曽我さんは、1P,2Pと登っていき、テラスへ。

何かしゃべってる。。

え?!何々?!

その内、スルスルと懸垂で降りてき、

「あれ?!確保器!ラッキー♪」って。

どうしたんですか?

「うん、大丈夫だって。登っていくんだって。」と。

いったい、なんだったの?昨日の断酒は。。

この悪いアプローチを来たのは。。

岩佐チームはもう既に頂上へ向かっていき、斉藤チームがテラスで寝ていたのであった。

そのテラスにいた斉藤チームは、これから、登るそうな。

 

大きな事故なくて、よかったねと、

11時奥又白池、13時徳沢園、15時上高地へと下って来、

岩佐チームと合流。17時過ぎ、斉藤チームも合流の上、下山完了と相成りました。

 

山を登る、

皆で登る、

山を下りること

様々、愉快なことですね

救助?!に向かう

救助?!に向かう

2014.09.19

ミヤザキです。

お盆に雨で中止となった前穂東面夏合宿のリベンジ山行として、7人という大人数で前穂四峰正面壁に向かいました。

 

【14日】上高地バスターミナル5:00-8:00中畠新道分岐8:20-12:00北条新村ルート取り付き-登攀開始13:00-下降開始17:20-17:40ハイマツテラス

2014-09-14 08.08.24中畠新道分岐で二日分の水を補給。正面奥に前穂

2014-09-14 11.15.41

四峰正面壁。雪渓は予想以上に残っていたが、6本爪アイゼンとミゾーのチコハンマーという軽量化重視の装備で突破。

 

上高地から7時間もかかって北条-新村ルートの取り付きに到着。

大人数だと休憩時間にしろ、歩きのスピードにしろ、ひとつひとつの行動が遅くなってしまうことを痛感した。

ここまでの話は「ようやくアプローチに着いた」という名言を残した原田さんの記録に期待して割愛。

 

先行は岩佐・早戸組。

2014-09-14 12.32.48

赤いアルパインクライマーソックスにクライミングシューズをはく千種の若頭・早戸くん。

「変ですかね?」と聞くので「うん、かなりダサい」と率直に答えると、いそいそと脱ぎ始める。

これが原因で(?)、数時間後に彼の足首は血まみれになる。

2014-09-14 12.37.17

ということで素足でビレーする若頭。それはともかく、人の頭の上で盛大にオナラするのはやめてほしい。

岩佐・早戸組の姿が見えなくなるのを待って、斉藤・宮崎組も登攀開始。

 

1P:リード斉藤

草付きのガリー右側の岩を快適に40mくらい。

しかし、フォローの宮崎がここで大失態。

終了点で回収したヌンチャクを渡そうとしたとき、今ここで落としてはいけないものランキング1位のATCが、環付きビナごと宙を舞った。

ああ~

と思うまもなく消えていくオレのATC。

まさかの1ピッチ敗退が頭をよぎるが、ここは探すしかない。斉藤さんにはボディビレイに切り替えてもらい、クライムダウンしながら探索。

半泣きになりながら取り付きまで降りると、なぜか松高ルートに行ったはずの上手さん原田さんがいた。

「ATC、落ちてきませんでした?」

わらにもすがる思いで聞くと、

「見てないけど、ドサっていう音がした気がする」

と原田さん。近くにあるのは間違いない。が、あたりは一面草付き。ここでゆっくり探している時間もない。

迷っていると、

「オレの貸そうか?こっち3人パーティーだから、一人はなくても大丈夫でしょ」と原田さん。

は、はらださん…(涙)

ということでありがたい提案に迷わずルベルソをお借りして、この先3日間くらいは原田さんへのリスペクトを忘れないで生きよう……と心に誓いながら1ピッチ目を登り直し。

 

2P:リード宮崎

ATCの件に動揺していてよく覚えてないけど、適当に30mくらい登ってピッチを切る。

 

3P:リード斉藤

ちょっと登ってハイマツテラスまで。この前半3ピッチはⅡ~Ⅳ級とのことだが、ほとんど残置ハーケンでランナーを取れるお気楽なピッチ。

問題はここからだ。

 

4P:リード宮崎

ハングを2つ超えるⅣ級A1の核心ピッチ。

人工登攀の経験は一度しかなく、8月のアブミトレーニングにも行けずじまい。加えて1ピッチ目の失態。

楽しみより不安がかなり勝っているが、行ったらなんとかなるやろ!と気合いを入れて突撃だ。

最初の小ハングは壁に下がってるお助けスリングつかみつつ、フリーっぽいムーブで突破。ビバーク装備と水の入ったザックが重い。

核心の大ハングを前に、しばし立ち往生。どうやって抜けるんだ、これ…??

ヒントは右にたれている残置スリング。これに届くようにハーケン打とうとしたが、探したらリップの上にも残置ハーケンがあった。

自分のアブミに乗ってから残置スリングに右足突っ込んで立ち込み、左ハンドジャムから仰向け気味にガバをとり、一気に体をあげてマントル返す。

と書くとあっさりしているが、しんどい!標高2800mでこんなムーブやらせんな!とハアハア言いながら声にならない悪態をついていたら、3m横の終了点にフリーで抜けたという若頭がいた。

「おつかれっすー。ここまだ使ってるんで、一段下に終了点作ってくださーい」

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あれ、まだそんなとこ?と思ったが、どうやら5ピッチ目のトラバースをリード中の岩佐さんが苦戦しているようだ。

息を整えていると、若頭のおしりからまたも「ブーッ」と音が。こういう逃げ場がないうえに空気の薄いところで人の頭上でオナラをするのは、本当にやめてほしい。

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とりあえずフォローの斉藤さんに残置した自分のアブミの回収をお願い。「怖いよ-」とか女子アピールしながらなんだかんだ登ってくるのが斉藤スタイル。

 

それにしても、岩佐さんが進まない。

「×○△※×□■※×○●!」

何やら叫び声が聞こえる。

ハーケンを打つ音も聞こえる。

どうもただごとではないようだ。

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かれこれ1時間以上もハンギングビレイをしていると、さすがに足がしびれてくる。エコノミークラス症候群になりそうだ。しかも寒い。

ようやく岩佐さんがピッチを切り、早戸くんが動き出す。

それに合わせて、斉藤さんに核心部を突破してもらう。

雲が上がってきた。夕方だ。時計を見る。17時過ぎ。

残り2~3ピッチだが、先行する二人を待ちながら登っていては、夜間登攀になってしまうだろう。

「降りようよ」

斉藤さんの提案は、至極真っ当だった。

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ハング&トラバースのピッチだったということは、終了点から懸垂下降しても開始点に戻ることはできず、着地点の地形も見えない。

緊張の懸垂下降は、経験豊富な斉藤姉さんがトップで。

ハングしているので空中懸垂になり、降り立った場所は急斜面のガレ場。

それでも灌木をつかみながら左にトラバースして、無事ハイマツテラスへ戻ることができた。

日が暮れかけているので、これ以上の下降は無理。

人生初のテラスビバークが決定した。

 

 

 

【15日】ハイマツテラス9:00-12:00前穂高岳北尾根縦走路-14:00前穂高岳山頂14:15-16:00岳沢小屋16:15-17:30上高地バスターミナル

2014-09-15 05.30.15

ツェルトの内部が明るくなって、目が覚めた。外を見ると、常念山脈から朝日が上がっていた。

前夜は斉藤さんが持参したウイスキーで一度は寝付いたものの、22時ごろに目が覚めてからは寒さでなかなか寝付けなかった。

ロープやザックをマット代わりに敷いて寝心地はそんなに悪くなかったが、ガタガタと震えが止まらなかった。

軽量化のためシュラフは持ってこなかったが、シュラフカバーも持ってこなかった斉藤さんはクレイジーだと思った。

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岩壁にロープをフィックスし、そこにツェルトを通した我々のテラスハウス。 ハーネスをはいたままセルフビレイを取りながら寝たのも初めてだ。

一度夜中に谷側に寝返りして体重ををかけてしまい、ロープの高さを保つために壁に浅くはめていたナッツが外れて、ツェルトがつぶれた。

ドキドキしたが眠かったので放っておいたら、斉藤さんが立て直してくれて感謝。

 

朝日を浴びながら朝食を食べ、出発準備を進めるが、二人とも動きが遅い。

この日はもう当初の予定通りの明神縦走はできない。したがって行動の選択肢は3つ。

①敗退下山  ②北条新村ルート続行 ③松高ルートに変更

前日夕食時に話し合った結果は②だった。恐怖の核心ピッチをもう1回登るのは精神力が必要だが、二度とここに来ることはないかもしれない。

 

なんとか出発しようかという7時ごろ、人が登ってきた。

どこかで見覚えがある。昨年12月に南沢大滝でも会ってる成田賢二ガイドだった。

先を譲ると、おばちゃん二人を叱咤激励しながら引っ張り上げていく。速い。しかしこちらはまたしても時間をロス。

気を取り直し、あらためて出発しようとした9時ごろ、またしても人が登ってきた。

どこかで見覚えがある。というか曽我さんだった。

「昨日長いこと壁にぶらさがっとったでしょ。怪我したかと思って救助に来たよ」

丁重に救助をお断りし、ようやく出発。

 

4P(再):斉藤リード

前日は宮崎がリードしたので、この日は斉藤さん。「ねえ、怖いんだけどー」と女子アピールしながら、抜けてった。

前日の自分同様、アブミの回収はフォローに。一度こなしているムーブなので、フォローではたやすい。

ただし、前日に足をかけて登った白い残置スリングが切れそうだ。斉藤さんが体重かけたらミシミシ言っていたらしい。

近いうちに誰かが落ちるロシアンルーレットを放っておけず、別のスリングにかけかえておいた。ちょっと短くなったが、まあいいだろう。

 

5P:宮崎リード

前日に岩佐さんが苦戦していたピッチ。

やや下り気味のトラバースは怖いが、スタンスはけっこうある。ガバだと思って握った岩がはがれて落ちたときは、「ウォッ」と声出ちゃったけど。

 

6P:斉藤リード

ちょいちょいテクニカルなムーブで高度感のあるカンテを登る。

トポにはこの2ピッチ合わせてⅣ級+、A0と書いてある。特にA0するところはなかったが…。

 

7P:宮崎リード

今までのピッチはなんだったんだというくらいガバガバですっきりした快適なⅢ級。植物がたくさん生えてるテラスみたいなところでカムとピナクルで終了点を作る。

 

8P:斉藤リード

草付き、灌木のなかを右上。案の定ロープの流れが悪い。フォローの宮崎は登山靴に履き替え、ロープ巻きながら登る。

 

これでようやく前穂北尾根に合流。

適当にルートファインディングしながら北尾根4峰を登ったが、奥又側を巻いた踏み跡に入ったら失敗。ガレた下りから3、4のコルに。

 

【前穂北尾根3峰】

1P:宮崎リード

ロープ使う必要ないし、登山靴で登れる、と某先輩に聞いていたので突っ込んでいったら、どうも正規ルートとは違うところを登ってしまったっぽい。

案外悪いじゃないか、と途中でロープ1本だしてもらい、めいっぱい伸ばしてピッチを切る。

 

2P:斉藤リード

洞窟みたいなチムニーに突入し、右上の窓から出て、50m近く伸ばして終了。

これも正規ルートとは違ったっぽい…。

 

3P:宮崎リード

正規ルートを外れたまま、ラインとしては自然な山頂に抜ける凹角を登る。

残置ハーケンもほとんど見当たらないので、カムで支点。1カ所ハング気味だったが、ガバなので思い切って抜けられて気持ちよい。

三峰はたしかに登山靴でも登れるが、ロープはあって良かった。

 

二峰の懸垂下降ポイントは、3mくらいの簡単なクライムダウンだった。

あとは歩いて山頂へ。二日がかりでようやく前穂高岳のピークを踏めた。

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山頂からは重太郎新道で岳沢まで2時間、さらに1時間で上高地に無事下山。

しかも北条新村ルート1ピッチ目で落としたATCと環付きビナを、“救助”に来てくれた曽我さんが発見・回収してくれていた。

 

最後はみんなを5時間近く待たせてしまい恐縮しながらの合流でしたが、二日間ともにがんばった斉藤ねえさんはじめ、いろんな人にお世話になって、思い出深い山行になりました。

2014.09.08

こんにちは 原田です。

9月6日(土)、上手さん、酒井さん(新入会員)とともに、甲斐駒ヶ岳行ってきました。

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【記録】

5:00竹宇駒ヶ岳神社登山口~11:30頂上12:30~18:10竹宇駒ヶ岳神社

 

今回は、酒井さんの入会を歓迎し、ハイキングにでもってことで、行きたい山を確認すると、

「甲斐駒」

「甲斐駒」

って・・・行ったばっかやないか。。

姉さんには「ドMですか?」って言われながらも、

前回は、足痛で下山が遅くなったので、リトライし、足の確認にはいいなって事で、甲斐駒・黒戸尾根に決定。

二日前の予報では、雨予報で、瑞浪かジムに転向かって、悩んでいましたが、前日の昼に、結論を出しましょうって事にしていたら、意外に、行けそうな予報に。

そして、19時より名古屋を立ち、23時過ぎに、登山口Pに到着。

早朝5時に出発。

ピーカンの刃渡り

ピーカンの刃渡り

途中の岩場では、鎖が掛かっているところを、なるだけクライミング♪

トレランシューズではのぼりにくい・・

トレランシューズではのぼりにくい・・

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上手さんはクラックに吠えてました

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アスレチックな登山道を楽しみながら、11:30、頂上に到着。

これまでの中で、一番いい景色で、南、中央、北アルプスとすべて見えてました

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南アルプスの山深さが感じられますなぁ

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下山も同ルートで、下山。

相変わらず、足痛、ひざ、ふくらはぎ痛が発生。

ここのところ、色々と山へいきましたが、その症状は発生せず、これは「黒戸病」ってやつですね。

そんな黒戸病のせいで、下山はまたしても遅れ気味でしたが、日の暮れには間に合い、下山。

そして、「尾白の湯」から上がった時には、雨。

いいタイミングで登れてよかったです。

 

 

追伸、

ここ一か月で、二枚目の青切符となりました(涙)

東海北陸道、中央道は、制限速度80kmであることをご注意ください!

グレーのクラウンは嫌いだ!!

2014.09.08

お疲れ様です、早戸です。

早戸・成瀬(ラ)、鵜飼(新入会)で錫杖へ向かいました。

 

まず、1日目錫杖岩屋に幕営具をデポして左方カンテへ。

1~3ピッチは早戸リード。

久しぶりに乾いた岩でクライミングを楽しめた。

4~7ピッチは成瀬(ラ)がリード。

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木登りのピッチもリーチを活かしてフリーで突破。

抜けたら槍穂の絶景。とても気持ちのいいクライミングでした。

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下降は後続がいた為、少し待ちながら下降した。

 

快適な岩屋でタープ(ブルーシート)を張って前衛壁を眺めながら宴会。

就寝前に小雨が降り出したが岩屋のおかげで気にせず就寝。

が、夜中2時頃トイレに起きると沢が増水して(ラ)と鵜飼君がシュラフごと浮いてる。。。

急いで起こして一段上がったところへ避難。

荷物を片付けていつでも出発できるように準備して待機。

雨は弱くなり、程なくして水位は下がった。

鵜飼君曰く1時の時点では大丈夫だったようなので短時間で水位が上がったようだ。

雨が降るとわかっていたので、幕営地を変えるべきでした。

 

雨が降ったのでクライミングがダメなら笠が岳に行きたい(個人的に)ということでボッカトレーニングに変更。

最近全然歩いていない(ラ)はバテバテ。ていうか皆バテバテでしたが、晴れてきた笠が岳に登れて満足。

IMG_0428[1]IMG_0429[1]

冬に向けていいトレーニングになりました。

下山の笠新道は聞きしに勝るしんどさで新穂についたときには限界を超えていました。

 

[1日目]

6:00槍見P~7:30錫杖岩屋~8:00取付~8:30登攀開始~12:00登攀終了~14:30下降完了~15:00幕営地

[2日目]

6:00錫杖岩屋~12:00笠ヶ岳山頂~15:50林道合流~新穂高16:40~槍見P17:10

 

 

 

 

 

2014.09.04

岩佐です。

 

今年の夏は毎週末のように雨に降られ山に殆ど行けなかったため、平日に休みを取って錫杖の注文の多い料理店から烏帽子岩東肩ルートへの継続登攀を計画しました。しかし、注文の登攀に予定以上の時間がかかったことや当日のコンディションから、東肩ルートは断念。結局1本しか登れませんでしたが、久しぶりに山に行くことができて満足です。

 

日程:2014年9月3日

メンバー: 上手、岩佐

行動記録: 槍見P 02:10 ~ 04:40 注文取り付き 06:00 ~ 11:20 登攀終了 ~ 11:30 懸垂下降開始 ~ 12:20 注文取り付き 12:45 ~ 14:45 槍見P

 

報 告:

天気が良さそうな3日に休みを取ったものの、天気予報は二転三転。どうなることかとハラハラしたが、取り敢えず2日早朝に雨は止み、その後何とか3日まではお天気は持ちそう。1日で岩は乾くだろうかと若干の不安を抱えながらも、現地に向かった。

 

予定よりも早く取り付きに着いたが、当然まだ真っ暗。テーピングテープを巻いたりしながら明るくなるのを待つ。太陽が昇り、ルートを見てみると所々濡れており、1P目下部はベタベタ。でも2P目はそうでもなさそう。3P目から上は若干濡れている部分があるようだが、下からでは良くわからないので、取り敢えず登ってみることにする。リードは全て岩佐。

 

1P: ネットで調べると少し凹角気味の草付きを登っている記録が多かったが、べったりと濡れていてとても登れそうにないので、左側からテラス目指して右上する。支点には小さめのナッツが大活躍。

 

2P: テラス左側から斜めのクラックを登る。クラック出だしは背負っているザックが邪魔で登りにくい。仕方ないのでA0で体を上げる。あとは右足を突っ込んで左足でスタンスを拾いながら登るが、岩が湿っているので足が滑りやすい。ヒヤヒヤしながらクラックを抜けてランペを越え、テラス下の小ハング下を右に回り込んでテラスに上がった。

 

3P: テラスについて核心部分のハングを見ると、しっかり濡れている。困ったなぁと思ったが、ここで敗退も嫌なので登ってみることにする。元々スラブは苦手なので濡れたスラブは恐ろしい。左の細いクラックにナッツをきめて、ハング下にまず4番をきめる。ハング右に出ようとあれこれ試してみるが、どこもかしこもベタベタで手も足もきまらない。ザックも重いのでフリーで抜けることはアッサリ諦め、ハング上まではA0で抜けた。

 

ここから上は、ヒロケン本で豪快にレイバックしながら登っている写真が載っている部分だが、レイバックなんて恐ろしくてできません。濡れたクラックに手足を突っ込んでクラック登り。2箇所ほどカムにフィーフィーをかけて休憩し、途中で5番を上に移動させたりしながら突破。セカンドの上手さんは、「これはザック背負って登るルートじゃないっすよおぉぉぉ~」と言いながら登ってくる。「そうなんですが、烏帽子岩まで行かないといけないので、仕方ないのですよ。ごめんなさい。」と心の中で呟きながら、「ガンバー」と発破をかける。途中でレイバックしているポーズを取ってもらいカメラに収めるが、後でカメラの紐が切れて下に落ちてしまった。(泣) 「登っている時にカムを落とすよりマシ」と自分を慰め、落としてしまったものは仕方ないと諦める。

 

4P: 3P目より易しいと期待していたのに、相変わらず厳しいピッチ。右のテラスにトラバースする所も岩が濡れていて悪い。右側に渡る前にカム1番をきめて、そーっと体重を右足に移す。あー、怖かった。

 

5P: ここは右側の太いクラックに片足を突っ込んで、もう一方の足でスタンスを拾いながら登るつもりだったが、湿った壁で足が滑る。途中で足がクラックに挟まって取れなくなるわ、最後のフェースもまたまた濡れているわで、もういい加減にしてほしいと思ったところで終了点を発見。取り敢えず注文は登攀終了。上手さんも登ってきて、上手さんのカメラで記念撮影。

錫杖

ここからは正面のフェースを登って尾根伝いに烏帽子岩に行く予定だったが、ガスが出てきて予報よりも早くお天気が崩れそう。フェースも濡れていてザック背負っては登りたくないので、上手さんと相談したところ、もうお腹一杯とのこと。時計を見ると既に11時を回っており、好天ならばともかくも、途中で降られたうえに下山が遅くなるのも嫌なので、ここで終了として3ピッチの懸垂で取り付きに下りた。

 

ガチャ分けした後で暫く落としたカメラを探すが、残念ながら見つからず諦める。錫杖沢出合で顔を洗ったりしてのんびり休憩し、槍見まで下った。

 

下山直後は「もう注文いいわ」と思いましたが、もしまた機会があれば、もっとコンディションが良い時に荷物無しで再挑戦してみたいと思います。

2014.09.04

ミヤザキです。
異常気象に翻弄されたこの夏の顛末です。

 

 

気合いは十分入っていた。
妻子を帰省させ、仕事の調整もつけてようやく確保した8月26~29日の夏の4連休。
平日なのでパートナーは見つからないが、だったら以前から温めていた槍穂稜線全踏破をやろうと思った。

22日
最初の計画書【上高地→北鎌尾根→槍ヶ岳→北穂→涸沢→前穂北尾根→奥穂→西穂→焼岳→中ノ湯】を提出。
基本コンセプトに、前穂北尾根のソロ登攀も加えたお腹いっぱいの計画。
西村代表には無理せず状況を見ながらということで認めてもらったが、北尾根ソロのリスクはやはり悩みどころ。

23日
注意深く天気をチェックしていると、どうも4日間雨が降らないということはありえない状況になってきた。
欲張らずに基本コンセプトだけに変更し、2度目の計画書【上高地→北鎌尾根→槍ヶ岳→北穂→奥穂→西穂→焼岳→中ノ湯】を提出。

25日
翌26日の雨が確実に。初日ビバーク予定地の北鎌沢出合は天上沢沿いということで、雨中は危険。
さらに27日も荒れる可能性があり、北鎌尾根も危うい。ということで山行中止を決定。

26日
28、29日は天候の回復が見込めるため、必死にパートナーを探したところ、瀧根さんが引き受けてくれた。
3度目の計画書【徳沢→前穂東壁(北壁~Aフェース)→徳沢→横尾本谷右俣→南岳→上高地】を提出。
瀧根さんは28日の前穂だけで、自分は29日にソロで横尾本谷に入る。

27日
出発準備が終わるころ、瀧根さんから電話が。
「明日の天気も良くなさそうだから、前穂はやめよう」
たしかに、ただでさえ落石多発地帯の前穂。雨が降ればより危険は高まる。
ただ、予想天気は曇り。「上高地に向かっているなら高山で飲もう」というお誘いもあり、28日に晴れたら錫杖岳に行くということにして、瀧根さんに計画書の変更をお願いして高山に向かう。
4度目の計画書【錫杖岳・見張り塔からずっと】を瀧根さんが提出。

28日
前夜は居酒屋「樹」でしっかり飲みつつ、瀧根家にお邪魔。5時起床のつもりが3時に目覚めたので、瀧根さんが参加したK2やローツェの記録を読む。
5時に1階に降りると、天気予報を見ながら瀧根さんが渋い顔。空は曇り。
とりあえず行くだけ行きましょうと出発。取り付きに着くころには乾いているだろう。
しかし、平湯のバスターミナルでトイレから出てくると、瀧根さんがきっぱり。

「今日はやめようか」

その瞬間、 ( ゚д゚)  って顔になったけど、翌日から大事なガイドを控えている瀧根さんにとっては重要な休養日。無理強いはできない。
瀧根家に戻り、モンブランやマッターホルンの映像を見せてもらい居間に寝転がってウトウト。
11時過ぎ、朝のワイドショーの明るい声がむなしく響くなか、「ああ、このままオレの4連休は山に入らないまま終わるのか…」とあきらめかけたところで、なぜだかやる気が再点火した。
「そんな馬鹿な。一人でもやれることやったれ」

時間は1日半しかないが、とりあえず奥穂~西穂間の歩きなら、それなりに充実するだろう。
錫杖のつもりだったためテント泊装備一式は家においてきてしまったが、この際山小屋泊もしかたない。
そこから瀧根さんに5度目の計画書【新穂高温泉~白出沢~穂高岳山荘~ジャンダルム~西穂山荘~新穂高温泉】の提出をお願いし、急いで新穂高温泉へ。

午後からの出発という山ヤ的には非常識な行動だが、もうヤケクソだ。
山荘スタッフに怒られない時間に着く、ということで18時着を目標タイムに設定し、最低限の荷物で出発。

IMG_6175

ガスに追われるようにして登ってきた白出沢

 

新穂高温泉12:45-白出沢出合13:45-荷継小屋跡15:00-穂高岳山荘16:35

溜まった何かをぶつけつつ脇目も振らず登ったら、コースタイム8時間の半分切った。
山荘の夕食は高いくせに微妙。同室のおっさんたちのいびきの大合唱でほとんど眠れなかった。
まあいいや。すべてのネガティブなものを推進力に変えてやる。それがヤケクソ山行だ。

 

29日

日の出とともに出発。ジャンダルムの頭は直登。天狗の頭も鎖使わず直登。ともにⅢ級くらい。5時間切りたかったので、西穂独標からは走って降りた。トレランなかなか楽しいな。

ヤケクソ山行だけにヤケ岳まで行って中尾に下るコースも考えたが、水も行動食もなくなり、気持ち的にもある程度満たされたのでこれで打ち切り。
山ガールがテント張ってるのながめながらソフトクリーム食べた。

穂高岳山荘5:10-ジャンダルム6:15-天狗岳7:30-西穂高岳9:00-10:00西穂山荘10:20-11:00ロープウェー駅

IMG_6205ジャンダルムの頭の直登ライン。

IMG_6219

天狗岳山頂に残置してあった謎のリュック。持ち主はどこへ…??

IMG_6224

間天のコルあたりから見えた100m級の巨大スラブ。傾斜がもっとあれば登攀対象になりそう

 

 

今回、二転三転四転して5度も計画書を提出するという事態になりましたが、そのたびに緊急連絡先を引き受けてくれた矢野さん、確認していただいた西村代表、そしてドタバタ劇に巻き込んでしまった瀧根さんには深く感謝いたします。

余談ですが、山荘での夕食時に義足の女性登山者と話す機会がありました。
ガンで左膝から下を切断してから4年後に登山を再開。コースタイムの3倍以上の時間をかけて各山小屋に泊まりながら、この3000mまで一歩一歩登ってきたそうです。
彼女の充実した表情は、天気で計画が思い通りにいかないことなど些細なことだな、山は競うものではなく人それぞれ自分の目標があればいいんだな、という当たり前のことを教えてくれました。

2014.08.25

位田です。

遅くなりましたが、8/21(木)に斎藤さんと左方カンテに行ってきましたので、報告します。

もしかしたら午後からは天気が崩れるかもしれないから、早めに出発しましょう、と言っていたのですが…。

前夜発で到着、少し仮眠をし、そこからさらに二度寝をし、駐車場出発は6:00。

駐車場には他の車は1台もなく、左方カンテはもちろん貸し切り、もしかしたら錫杖岳自体が貸し切りだったかもしれない贅沢をしてきました。

二人とも夏の左方カンテは初めてで、アプローチやらルーファイやら残置がなくなっていることやら、色々不安ではありましたが、無事に登り切って楽しんでくることができました。

 

まずはアプローチですが、とてもわかりやすく、前衛壁基部に着いて左に行くと注文方面、左方カンテは右に行かなくてはいけなかったのですが、北沢を詰めると思い込んでいたために、一度は左の注文方面へ進んでしまいましたが、どうはやら違うらしいと斎藤さんが気づいてくれて、早めに修正、基部まで戻ったら、すぐに左方カンテ取り付きに着くことができ、まずはアプローチが無事に終了。

今回は、カムは2セット持っていきたい、ナッツも1セット持っていく、という防御クライマー仕様でしたので、ザックを1つにまとめてフォローが担ぐ作戦にしました。

もちろんアプローチシューズも取り付きに置いて出発です。

 

1P<位田>

チキンな私は、なんとなくいつも最初に登るのに尻込みをしてしまうのですが、3P目をリードしてみたかったので、逆算したら当然私から…。

Ⅲ級のルンゼで、確かに残置はなかったですが、カムが極められるので、まずは楽しくアップになりました。

まだ感覚的にロープがどれぐらい出ているか感じられないのですが、そろそろかな~なんて思っていたら、ちゃんとした支点があって、噂どおりでした。

2P<斎藤>

そのままルンゼを繋げる感じでした。

夏合宿で代表のナッツ講習を受け、翌日にはナッツを購入していた斎藤さん。

ナッツを積極的に使ってみて登る、という姿勢で臨んでいました。

1個目のナッツを極めた後、反対側の同じ高さにカムでバックアップを取っている姿を見て、つい「だったらナッツいらないんじゃない?」なんて突っ込んでしまいましたが、早くもこのピッチでナッツのコツをコツを掴んだようでした。

フォローの私は初のナッツ回収で、落とさないように回収するのに手間取ってしまいましたが、ナッツの回収ってカツーンって感じが気持ちいいですね。

 

DSCN0013-1

 

2P目リードの斎藤さん。

ナッツ多用してましたね。

3P<位田>

事前に早戸さんから「ルーファイが肝ですよ~」とアドバイスをいただいていたので、確かにそのまま上に行ってみたい気持ちを抑えて右にトラバース。

薄~いハングをガバで乗越したら正解でした。

けど、あとで斎藤さんから、「ランナーの取り方を見て、どっちに行こうか右往左往してすごく悩んだのがわかるわ~」と言われてしまいました…。

確かにここのピッチは残置がないのでどのラインを登ればいいのか不安だったし、多分精一杯で落ち着いてカムを極めるところを選びきれていなかったので、取れるところでとりあえず取ってみてちょっと登ってみる、なんか行けそうかも、の繰り返しで、時間がかかってしまいました。

DSCN0019-1

右にトラバースしてガバガバをガシガシ上がると終了点。そこから下を見てみたら、結構な高度感なんですねぇ。

4P<斎藤>

私はこういうの苦手です…。

落ち着いて登ればいいのでしょうが、ちょっとクラックやチムニーの匂いがすると、すぐに苦手意識が出てきてしまって、登ることと回収で精一杯で、リードだったらどこに支点取ろうか、とかそんな余裕はなかったですね。

個人的にはここよりも3Pのが簡単でした…。

 

DSCN0024-1

4P目リードの斎藤さん。

ナッツ大活躍してましたね。

5P<位田>

ここのピッチも早戸さんから、「出だしがランナウトするから気を付けて」とアドバイスをいただいていたフェース。

見るからにガバやガバカチなのですが、確かにランナーが取れそうにない…。

慣れないナッツを初めて使ってみる…、が極まらない。

けど、なんとかカムを極めたり、比較的新しいハーケンを見つけてしまい、遠慮なく使用させていただきました。

ここはメンタル核心ですね。

ここのピッチまでにナッツが上手に使えるようになっておけばよかった、と後悔しました。

ちょっとした立木を通り過ぎてさらに上がって終了点。

DSCN0028-1

この木で支点を作ってしまいたくなるところを、もちょっとあがると、ちゃんとペツルがあって、注文と合流するテラスに出られました。

 

6P<斎藤>

もう文句なしに、左方カンテの核心はこのピッチだったと思います。

出だしは木登りするか、右のフェースから行くのか、まずはそこから悩み、チムニーからハンド~フィストクラック、フェイスになり、ようやくカンテに出て、そこからのフェースも高度感一杯で、下部の悪いところを抜けてきても、まだまだ幸せがやってこない。

そんな変化に富んだピッチで、ずーっと気の抜けないピッチでした。

事前にそのような情報がなく、トポでもⅣ+だったのでそんな心づもりはなかったのですが、フォローでも一番痺れました。

もし次にまた左方カンテに行くことがあったら、ぜひ次回はリードでトライしてみたいピッチでした。

DSCN0046-1

 

「写真映えするね~」とのんきな私と、「赤張り気味で~」とか「黄色張り気味で~」とか、温度差があったかもしれない6P。

7P<位田>

5Pを終わったところで、斎藤さんはクラック系担当、私はフェース系担当で、「私たちきっといいコンビが組めるわ!」なんて私が一方的に言っていたのですが、ここのフェースは悪かったです。

痺れるほどではないけど、私ではナッツが極められない、フレークは今にもはがれそう、落ちないとは思うけど、最後なんだからチャチャっとテキトーに、って感じではなかったです。

せっかく斎藤さんにナッツの回収を体験してもらいたかったのですが、どうやら「手で外れたよ~」らしく、私は今回はナッツはまだまだ掴めていなかったようです。

DSCN0060-1

ガバはガバなんですよ。豊田を思い出せば強気で行けたかも。

8P<斎藤>

7Pを登って終了点に着いて、なんとなくもやもやする私。

「これで終わりでいいのかな~。なんかすっきりしないんだけど。気持ちよく終わった感じがない」とボヤく私。

というわけで、ここから灌木混じりの斜面を抜けていき、灌木でビレーをしてもらい、そこに辿り着き、そのままもちょっと進んで行ったら…。

斎藤さん「どうする~?なんかある?ここで終わっとく?」

私「いやいや、絶対ここまでは来たほうがいいよ~」と。

DSCN0057-1

DSCN0058-1

 

山頂ではないものの、素晴らしい草付の斜面から、展望が開け、大満足。

ここでようやく納得の登攀終了。

「おつかれさま~」と握手を交わし、あらかじめ設定しておいたリミットの14時を過ぎていたので、急いで下山。

懸垂の繰り返しでした。

が、連続懸垂の手順とコツがまだまだ掴めておらず、そのことで精一杯。

「帰りに注文見てくるといいですよ」と言われていたのに、注文のルートがどこかわからず、とりあえず安全に懸垂すること優先。

というわけで、無事に全8Pを登り終え、18時に駐車場に戻ってきました。

二人の感想としては、「もうちょっと簡単だと思ってたけど、なかなか頑張りが必要で、簡単すぎず難し過ぎず、ちょうどいいルートだった」ということでした。

初めて組んだ二人でしたが、貸し切りということもあって、なおさら二人で成し遂げたという達成感が強く、とてもいい山行になりました。

駐車場でギアの整理をしていたら、一日雲で隠れていた槍穂がピンクに染まって現れて、しばし見とれてしまいました。

DSCN0062-1

こんな写真じゃちっとも伝わらないですが、一瞬言葉を失うぐらい綺麗でした。

頑張った御褒美で~す。

次回は注文にトライしたいですが、それまでにクラック特訓と、ナッツを使いこなせるようになっておくのが、この冬の課題です。

そうそう、結局ギアはカムは1セット、ナッツは使えたほうが断然よい、ですね。

残置もまぁ使いはしたけど、ないから困る~、ありえな~い、とかそういう感じではありませんでした。

2014.08.23

こんにちは またまたハラダです

20日に、上手さんと御在所・前尾根に行ってきましたので、ご報告致します。

DCF00132

神手を使ってます

 

7時過ぎに、裏道Pに到着。

正面P、いわゆるエントランスに駐車。

7時30分頃より出発。

湯気立つ御在所

湯気立つ御在所

9時前には取り付きに到着し、まずは着替え。すでに、ベトベトの、ゆげゆげ。

昨年スズメバチが巣を作っていた木には、今年はない。

今回のテーマは、システムの確認。そして、支点を確実に。

上手さん、全リード。原田、全フォロー。

着々と攀り、13時頃終了点到着。

「ダルマやる?」

なにやらダルマには妖気が漂ってます。

妖気がかったダルマ

妖気がかったダルマ

じゃあ、今日は、抜けて帰りましょうってことで、下山しました。

次回は、リード、そして、ダルマをやりましょう。

今回の前尾根は、炎天下の中で、貸し切りでだらだらと攀らせてもらえました。

ときどき、涼しい風が吹くときもありましたが、ギラギラの太陽で、焦がされましたね。

暑いなか、お疲れ様でした、そして、涼しくなったらまた来ましょう♪

 

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