1皮です。岩佐さんと瑞牆でマルチピッチを登ってきました。ロクスノ70号に掲載されていた鷹見岩南山稜はなかなかに面白く、お勧めルートです。
【5日】一粒の麦~ジョイフルモーメント
数年前に取り付きが見つけられず敗退した因縁のルート。今回は、ネット上の登攀記録をいくつも持参し準備万端、、、のはずが、また迷いに迷って駐車場から取り付きまで3時間かかりました。
十一面正面壁から白クマのコル方面のルンゼに付けられた踏み跡をたどり、木に巻かれた黄テープに沿って奥壁と思われる方面に回り込むように進んだ。登攀記録のコピーには白テープと書かれていたが、「張り替えたんだろう」と勝手に思い混んでしまったのが、再び迷った原因。黄テープに導かれていくと大きな壁の下にたどり着いた。面白そうな右上クラックが垂壁に伸びているが、一粒の麦ではなさそう。その辺りを右往左往した結果、「どうも違うぞ」と言うことになり、最初の黄テープまで戻り、白クマのコル方面にさらにルンゼを上がると、右手(東方)に別のルンゼが伸びているのが分かった。そこをちょっと登ると、白テープとケルンに沿って踏み跡が現れ、5分もかからず一粒の麦の取り付きに着いた。5時間も探した前回は、いったいどこを歩いていたんだ!ちなみに、今回間違えた黄テープに沿って登ってしまった場所は、たぶん奥壁の南側にある「小やすり」と思われる。
(一粒の麦1P)岩佐 5・9 簡単なフェースから3mぐらいの左上ハンドクラック、スラブの下降
(2P)1皮 5・10b 30mぐらい続くハンドサイズのフレーク。簡単だけど、要持久力です。同じサイズのカムが複数必要
(3P)岩佐 5・6 テラスから緩いクラックを登り、チムニーの前まで
(4P)1皮 5・7 支点の取れない(取っても意味のない)面白チムニー。幅は広く、オフィズスのようには苦しくない。上部で右に90度曲がり、ロープの流れは悪い
(5P)1皮 5・9 木の横にあるクラックを数m上がり、フェイスを左へ。上部のオフィズスから岩の上へ。
(6P)1皮 5・10c 取り付きが分からず右往左往する。ハングに走る細いクラックかなと思いがちだが(目立つため)、その右の方にある小カンテとクラックがルート。カムとナッツをクラックにかませ、上部の気持ちの良いコーナーへ。小カンテからコーナークラックに移るところが核心か。終了点が奥壁の頂上で気持ちがいい。
頂上からすぐ北側にある細い穴を通り、チムニーを不動沢方面に下ると踏み跡が出てくる。10分ほどで、一粒の麦の取り付きに戻れる。クライミングシューズのままでも大丈夫だった。燃料補給の後、一粒の麦から踏み跡を数分上がったところにあるジョイフルモーメントの取り付きへ移動
(ジョイフルモーメント1P)岩佐 5・9 左上クラックから、ハイハイしないと渡れない細いスロープ。高度感あり
(2P)1皮 5・9 ハンドからオフィズスまでのクラック。面白いピッチ
(3P)1皮 5・8 緩いオフィズス。ワイドに慣れてないと登りにくいかも
(4P)岩佐 5・7 3P目終了点から10mぐらい岩の間を進み、突き当たりの岩の右端に走るハンドクラックを登る。終了点が頂上で、一粒の麦と同じ下降ルートをたどった
【6日】鷹見岩南山稜
瑞牆山荘の駐車場から登山道を歩き、富士見平小屋を経て、鷹見岩への分岐から100mぐらい進んだところがアプローチの入り口。白テープが2本の木に巻いてある。そこから登山道を離れて鷹見岩に向かって右にある緩い斜面の倒木帯を進み、50mぐらい進んだところで登攀準備。不必要な荷物をデポした。カムはキャメロット青まで1セットとエイリアン1セット+ハンドサイズを2個ほど。雨が降り出しそうな天気のため、いつでも敗退できるようにバックロープを引いていくことにした。デポ地から取り付きまでは鷹見岩を大きく回り込むように進む。白テープが巻かれた木や、急な所には残置ロープが何カ所もあった。40~50分。取り付きでアプローチシューズをクライミングシューズに替えた。
(1P)1皮 5・10d 洞穴内のクラックから右上の穴へ。リーチがある人は、ポケットからハンドクラックに手が伸ばせるらしいが、わては手が届かないため、ガストンでつなぐ必要があった。湿ったハンドクラックから穴を抜けると、切り株のあるフェースの終了点へ
(2P)1皮 5・10b 最初の1、2手が迷う。よーく探すこと。右にトラバースすると、隠れているクラックが目の前に。そこから25mぐらいハンド~フィンガー~ハンドのクラックが続く。日本離れした美しさです。風化した小ハングを越え、右のスラブへ。終了点は安定したテラス。
(3P)岩佐 5・7 丸太を渡したような岩の上によじ登り、右に伸びるルーフクラックをトラバース。
(4P)1皮 5・7 数mのチムニーを上がり、岩の上に出ると、5、6Pの巨大な壁が目の前に。興奮する一瞬
(5P)1皮 5・10b 右壁から取り付き、フレークなどをうまくつかって3つめのハンガーボルトからチムニーを渡って左の壁へ。安定したバンドをカムで支点を取りながらたどり、浅いクラックをレイバックで上がる。終了点は安定したテラス
(6p)1皮 5・10c アンカーの上にあるハンドクラックを進み、右のフェースへ。浅いポケットをつないでいく感じでじりじり進む。フリクションが効くので、大胆に行ける。終了点の1坪テラスまで。悪天を予感させる南風がだんだん強くなり、寒くてしょうがなかったが、天気は何とか持ってくれた。
そこでアプローチシューズに履き替え、岩尾根を行く。所々、垂直に近い岩もあるが、がばホールドがあって怖くない。鷹見岩の頂上手前3Pをロープを使った。最後のピッチは左上ハンドクラックで、5・7ぐらい。頂上からは1時間ほどで駐車場に到着。途中で雨がパラパラと落ちてきたが、大振りにならずに済んだ。