1皮です。一人で黄蓮谷を登ってきました。
坊主の滝から上は深い霧の中でしたが
巻く際には踏み跡がしっかりあって
登山道を散歩しているような感じでした
日向山林道ゲート4:00―5:30尾白川の河原5:50―7:50黄蓮谷出合8:00―10:00右俣出合―15:00頂上15:30―19:00竹宇駒ヶ岳神社19:30―20:30日向山林道ゲート
当初の計画は1泊2日
沢筋でたき火でもしながらウイスキーをチビリチビリやろうかと思ってましたが、
台風接近で3日も午後から雨予報
初日からできるだけ登って、頂上直下か8合目の岩小屋にでも泊まろう
もしくはその日のうちに帰ってしまおうと思い、まだ暗いうちにラテを付けて出発した
日向山林道は、刃渡り沢やガンマルンゼを上るため冬に5~6回歩いているが、夏は初めて
踏み跡はあるものの、雑草に短パンから突き出たナマ足をなでられ、かゆいっす
途中、ルンゼを横断する場所で林道はかなり崩れており、人の造ったものの弱さを見せつけられる
3つぐらいのトンネルをくぐり、明るくなる頃に林道終点に着いた
そこから、対岸に見える刃渡り沢方面に、崩れやすい斜面を下りる
ガイドロープがべた張りで、ずるずる滑り落ちるようなことはなし
河原で、沢服に着替え、雲の隙間から青空が見える中、河原歩きをスタート
間もなく、大きな釜を持った小さな滝が次々と現れた
釜を泳いで取り付くのは寒いので、だいたいは左の斜面をへつって、流れの左側のスラブ直上
落ち口のところに古いスリングが垂れている滝もあるが、指先のかかるリスで乗り越せる
太いワイヤーが落ち口から渡されている釜は、シャワーを浴びながら簡単に越えた
やがて、やや急なナメ滝が出てきた。その奥には、でかい直瀑の片鱗が見える
これは、登ろうとするとドボンと行くだろう
さてどちらから巻くか、、、たぶん左だろうと検討を付け草むらに入ると踏み跡発見
そのまま直瀑を巻いて行くようだ
直瀑の釜は深い緑色で、たぶんものすごく深いでしょう
泳いでみたいような、怖いから近づきたくないような、そんな感じにさせてくれる
巻き道にはトラロープがあり、「こんなもの残置すんな」と独り言を言ったものの
草付きがあちこちではげ落ちていて、巻き道は極めて不安定
トラロープにすがってなんとか落ち口へ(^^;)
地形図を見ると、すでに鞍掛沢の出合は過ぎてしまったよう。全然気づかなかった
そこからしばらく、緩斜面のナメ滝が続く
甲斐駒の頂上稜線が見えた場所もあった
左右に沢が分かれるところで一休み
沢の出合は、どこでも分かりにくいが、ここが本谷と黄蓮谷の分岐なのか?
右俣は開けた沢だが、黄蓮谷と思われる左俣は両岸から木が覆い被さっていて薄暗い
今日は一人なので高度計がない(香典返しでもらった、「なんちゃってアウトドア時計」を山で使っているため)
本谷と黄蓮谷と思われる方向を磁石で図り、地形図の磁北線に当てて、
「たぶんこっちでしょう」という見当を付けて左俣に入った
しばらく行って、千丈の滝が出てこなければ戻ればいい、と思いながら
すぐに急なナメ滝
空気がひんやりとしてきて、濡れた衣服が寒いので釜には入りたくない
巻くため、泥のルンゼを登りトラバース
木を持って、滑りやすそうなスラブを渡っていくが、ここはちょっと危険だった
左から沢が落ちる広めの河原を歩いて行くと
正面にでかい千丈の滝が見えた。こちらが黄蓮谷で正しかったんだと、ちょっとほっとした
千丈の滝は見るからに急。冬に黄蓮谷左俣に登った時は、ノーロープで簡単に越えたのに、、、
おとなしく巻くことにする
途中、「昭和12年 黄蓮谷大龍神」などと彫られた石碑が立っていた
その上のナメを越えていくと、今度は坊主の滝。これも急なスラブで、登るのは無理っす
右のルンゼに入り、踏み跡に沿ってすぐに坊主の滝方面の樹林帯に入った
でもこの巻き道、上がっても上がっても終わらない
できるだけ小さく巻こうとトラバースしていくと5~10mほどの断崖に出てしまう
さらに上がってもまた断崖に突き当たる
それでもどんどん上がって行ったら
断崖が2m程度で、うまい具合に木の根っこがあるところを見つけた。青い残置スリングもあった
木の根に自分のスリングで確保し、下の斜面に下り、トラバース気味に渡っていくと
左俣と右俣の分岐点に出た。坊主の滝を巻くのに意外な時間がかかった
右俣に入ってすぐの滝。右の岩から登ろうとしたが無理
思い切って流れのあるところを登ったら簡単だった
その上は延々とナメが続く。これが奥千丈の滝なのか
ガスが濃くなって、視界は20mほどしかないので、よく分からないまま進む
雨が降り出さないだけでも良しとしよう
フリクションは良好で、確保なしでも怖くはない
ナメはだんだん急になり、ちょっと垂直っぽいところが出てきた
登れなくはなさそうだけど、完全なシャワークライミングになってしまう
日が当たらず、寒くて震えがきているので、シャワーだけは避けたい
ふと左の斜面を見ると、うまい具合にクラックが走っている
クラックを上がって右にトラバースすれば行けそうだ
傾斜は緩いのでノーロープで上がろうとしたら、岩がやたら滑る
いつも沢ではこのイボルブのアプローチシューズを履いているが
この岩は全くフリクションが効かず、上がっていけない
仕方ないので、ロープは使わず、2本のデイジーチェーンの先にカムを付け
カムの掛け替えで確保しながら登ることにした。足はフットジャム
途中、土や岩くずでクラックが埋まっていたが、ハンマーでたたき落とした
かなり上がって行くと、やっと傾斜が落ちてきて、上部の木を頼りに右へ右へとトラバース
もとの本流に復帰できた
そこからも、小さく巻いたり、滝を登ったりして延々と登り続ける
だんだん疲れてきて、30歩歩いては立ち止まって、ハーハー大きな息をするのを繰り返していくと
最後の滝とみられる滝の取り付き着
2本のハーケンとスリングがぶら下がっていた
上部はガスッてて、見えないためパス
沢はいくつも分かれているが、あとは勘を頼りに適当に登る
時々、黒戸尾根の稜線と、台風による強い南風に飛ばされる雲が見え始めた
そしたら、頂上から鋸岳方面に少し下りた所に出た
頂上には3人のおっさんたちがいて、4人目に加わった
雨が降る前に頂上に着けて良かった
あとは、苦痛だけの黒戸尾根下山
かなり下で男女ペアを抜き、真っ暗になった後、竹宇駒ヶ岳神社についた
でも、今回の山行はこれで無事終了ではない
5キロ先の日向山林道ゲートまで車を取りにいかねば(T_T)
ザックは、神社の駐車場にデポして、ラテ一つ付けて登って行く
舗装道で、足が痛くてたまらないっす
かなり上の方で、林道をゆっくり下りてくる車が一台
なぜか車内灯が付いており、後部座席で、引きつった顔の女の人がこちらを横目で見ていた
そんな怖い顔で見ないでほしい。真っ暗な林道を一人で歩いているんだから
もしかして、女の人も怖がっていた? ふらふら歩いてるから幽霊とでも思われたのか?
ゲートでは、走行距離20万7700キロに達したポンコツが、一台寂しく待っていた
ごめんね、遅くなってと、なでてやった