2020.04.05
先日、外部講師の方をお招きして、雪崩講習会を行いました。
講師は山岳ガイドの旭立太氏。内容はプロバイダーセーフティキャンプと呼ばれる二日間の基礎講習会です。
今年は特に寡雪という事もあり、場所の選定に時間がかかりましたが、旭さんと代表との協議により栂池周辺となりました。
参加者:西村、成瀬洋、上手、原田、吉川K、安藤、吉川G
初日は栂池周辺の宿泊施設に集合し、前半は机上講習。その後、野外に出てビーコンの使用方法についての講習を行いました。
机上講習ではまず雪崩の種類などの基礎知識について学び、その後実際の地形の写真を見たり、仮想の気象条件などから考えられる危険とリスクを見出し、行動をマネジメントしていく実践的な講習を行いました。
雪と雪崩に対してこれまで、いかに適当に考えていたかという事を痛感しました。ただ漠然としたイメージでしかなかった雪崩が、少しは理論的に捉えらるようになったという感じでしょうか。
後半のビーコンの操作方法に関しては、とにかく定期的に練習しておかないと全然対応できないという事が良く分かりました。
夜間に多くの降雪があった二日目。旭さんによると「色々とアクティブなものが見られるのでは」とのこと。講習には良い条件のようです。
まずは昨日学んだことを活かし、今日発生すると考えられる雪崩の種類や場所を予想します。
その後、ゴンドラに乗って栂池自然園周辺に向かい、実際に地形と雪を観察して、そこから考えられるリスクを想定しながら行動しました。
初日から言われてきたことですが、雪崩対策に関して最も重要なことは、「雪崩に遭わないこと」。そのためには「地形」を観察し利用しながら、よりリスクの少ない行動をとることが重要です。
雪崩講習というと、雪崩の起きやすい雪の状態や気象条件など、知識的な部分に目が行きがちですが(もちろん大事ですが)、実際には地形を見ることが最も重要で、見ているつもりでもこれまで全然できていなかったことに気づかされます。
山を眺める場所や高さを意識して、より大きな目線で地形をとらえれば、これまで見えてこなかった危険が見えてくるようになります。
途中東面の谷に大きな雪崩の痕がありました。今日発生したもので、朝予想したストームスラブと考えられます。サイズ2と呼ばれる規模で、巻き込まれれば命を落とす危険もあります。
周辺では雪を落とすだけで簡単に雪崩を誘発することが出来ました。
ここに来るまではそのような不安定さを感じることはほとんどなく、同じ山の中でも場所によって、そして時間によっても雪の状態が大きく変わることを示しています。
最後に、三名の埋没者がいるという想定でビーコン捜索訓練を行いました。最後の埋没者を発見した時には、雪崩発生から19分が経っていました。
生存の可能性が高いとされる15分には間に合わず、技術の未熟さを感じました。
ゴンドラの中で新人の安藤さんが知識や経験が少ないことへの不安を漏らしていたことに対して、原田さんがこんな感じのことを言っていました。
「ヤバいと感じたのが『講習会』で良かったじゃん。経験のある他の会員だって今回多くのことに気づかされた。今回感じたことを忘れずにこれから経験と勉強を積んでいけばいい。」
良いこと言うなー。さすがパイセン。でも僕も本当にそう思います。
むしろ経験のあるメンバーの方が経験に付随するバイアスがかかりがちで、常に謙虚かつ柔軟に学んでいくことが、長く山を続けるために大事なのだと感じました。