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3.14 御在所前尾根まだまだ冬仕様

2014.03.17

ミヤザキです。
八ヶ岳1泊2日の予定でしたが、またしても南岸低気圧直撃で積雪50cm予報のため予定変更。
地球は氷河期に向かってるって、本当でしょうか。
 
で、約1年ぶりに御在所岳前尾根に行ってきました。
この冬の若頭、イボG、ラッセル、しょーこ姐さんらの奮闘ぶりに刺激を受けていたので、それはそれで良いのです。
パートナーは成瀬画伯。こちらも冬の前尾根は初めてとのことでやる気満々。
とはいえ、去年は3月上旬にフラットソールで登れているので、もう春仕様かも…とクライミングシューズも持参しました。
無意味でした。
 

 
前日の名古屋の大雨は、御在所では雪だった。
藤内沢は踏み跡のない新雪で覆われ、P7の取り付きには20cmくらい積もっている。
ミヤザキ「ここ、モノを落とすので有名な取り付きなんよねー」
ナルセ「そうなんですかー?」
1年前もテーピングを落とした記憶がある。日置さんはう○こを落としていた。
 
などと思い返していた矢先、画伯のクランポンケースがコロコロコロ…
止まれー!っという叫びもむなしく、沢近くまで落ちていった。
ナルセ「………」
何も見なかったかのように黙々と登攀準備を進める画伯。え、残置???
でもまあまだ見える範囲に落ちていたので、結局取りに行った。
さて登攀開始。
 
 
P7:1ピッチ目、成瀬リード
言うまでもなく、壁の状態は完全な氷雪モード。クラックのなかに雪が詰まり、スタンスもわかりづらい。
ただ、雪を掘り出せばカムも効く感じなので、プロテクション多めに取りつつGO!
抜けの悪いところは早速「グオー!!」とか叫びながらアイゼンをガリガリやって抜けていた。さすが画伯。
ここはフォローでも大変。スタンスが悪く、もがいて何度もひざをぶつけながら、左ハンドジャムを信じて一気に体を上げる。
よし、抜けたー!と思いきや、ん?何かがおかしい。
リーシュコードが軽い。下を見ると、アックスが片方外れて取り付きに落ちていた。うわぁ…そんなことってあるのか。
下部の巻道を下って拾いに行く。
P7下部は、やはりモノを落とす鬼門だ。
OLYMPUS DIGITAL CAMERA
雪の付いたP7下部
 
P7:2ピッチ目、宮崎リード
ん?どうやって登るんだこれ…。
リッジの下。クライミングシューズならサクッと登れそうな垂壁だが、ホールドもスタンスも、ない。
雪をかき分けて薄いでっぱりを見つけ、ダブルフッキングして足ブラで体を上げる。ひー、怖ーい!
でもなんとか落ちずににリッジにまたがって一息。
雪の付いたⅤ級の悪さがよくわかった。
P7終了点より
 
P7終了点より
 
 
 
P6:1ピッチ目、成瀬リード
クラックのラインもあるが、「ここは安全第一で」と画伯。
左側のスラブか、右の低い凹角か、うろうろと悩んだり登ったり降りたりした末に、右はプロテクション取れない、と左に決定。
しかしこっちのスラブも悪く、結局スリングつかんで突破。チムニー側にトラバース。
フォローの宮崎はプロテクションがいらないので右の小凹角から試しに登ってみたら、登れた。
なので、逆方向にトラバースし、左スラブのスリングとカムをはいつくばって回収。
 
P6:2ピッチ目、宮崎リード
1年前の初前尾根ではヘロヘロになりながら引っ張り上げられ、その1ヶ月後の挑戦ではリードで0ピン取らずに低いところに落ちてくるぶしを切り、敗退を決断した因縁の流血チムニー。
避けて外から登ることもできるが、この雪ではたぶんそっちの方が難しいし、ここは逃げたくなかった。
しっかり1ピン目のカムをさして、慎重に前爪をかけながら両手両足を総動員して登る。
ガリガリやりながらも落ちる気はせず、右上に3ピン目のカムを決めたら一安心。リベンジ成功!!
 
P5:成瀬リード
休憩後、「一息入れたら、気が抜けました」という画伯。
P7、P6でかなり時間を使っているので、急ぐことに。
簡単なラインを選んでプロテクションとらずにほぼ歩いて抜ける。ビレイ意味なし。
 
P4:宮崎リード
凹角ルートの取り付きまで歩いて降りる。
Ⅲ級だが、このピッチはもろいベルグラ帯だったので、けっこう気を使った。
グイグイ高度を上げつつ、ちょいちょいテクニカル。
50m伸ばしきって、充実のピッチになった。
P4終了点より
 
P4終了点より
 
 
P3:成瀬リード
急いではいるものの、これまでが不完全燃焼だったのか、上部のダブルクラックであえて難しそうな右側を選んだ画伯。
ビレイポイントからはよく見えないが、どうも苦戦している模様。
「グオー!」
ガリガリ!!
「ア゛ー!!」
ガリガリガリ!!
雄叫びが爪と岩がこすれる音とともに隣の国見尾根にこだまする。
「赤張ってー!」「みどり緩めてー!」とビレイも忙しい。
テンションはかからなかったが、なんとかカムつかんで抜けた画伯は「アイゼンの爪から火花が出て、焦げたにおいがした。死ぬかと思った」と後に述懐する。
フォローでも悪かったが、アイゼン着けたままのフットジャムもけっこう効くことに気付く。
 
この時点で17時近い。疲れたし、P2のやぐらはあきらめてやぐらのコルから前壁ルンゼ側に懸垂下降2ピッチで裏道登山道へ。
月明かりのなか、ヘッデンつけて無事に下山した。
 
 

 
御在所前尾根といえば、ちょうど1年前に日置さんに連れてってもらったのがアルパインデビュー戦でした。
そのときはこんな感じ
これに比べれば今回、冬壁、アイゼン、ノーテンション、もちろんグラウンドフォールもなく、リード禁止令を受けることもなく、きっちりとつるべでP3まで登り切れたのは大きな収穫。
育児と仕事のため、この山行を最後にちょっと山からは遠ざかることになりそうですが、すっきりと区切りを付けることができました。
付き合ってくれた成瀬くん、どうもありがとう。
アルパインはやっぱり楽しい。

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