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2014.09.14-15 前穂報告(岩佐・早戸パーティー+総括)

2014.09.23

岩佐です。

大変遅くなってしまいましたが、14・15日の岩佐・早戸パーティーの報告と、今回の山行の総括報告を致します。

■岩佐・早戸パーティー: 北条・新村ルート報告■

上高地からのアプローチおよび登攀詳細については、原田さん・宮崎さんから既に報告していただいておりますので、省略させていただきます。

我々のパーティーは、岩佐リードで登攀を開始しました。核心の4P目は早戸さんがフリーでリード、5P目は岩佐がリードしましたが、本来ならばピナクルテラスから一段下がって右にトラバースするところを、判断を誤りピナクルからそのまま真横にトラバースしてしまいました。右に行けばいくほど悪くなり、4つ目の残置ハーケンにヌンチャクをかけた途端ハーケンがいとも簡単に抜け、その拍子に8mほど墜落。岩を登り返そうと試みましたが、若干かぶっており思うようにいかず、プルージックとタイブロックを使って支点まで登り返しました。墜落前に、抜けたハーケンの手前の残置ハーケンのすぐ隣にあったリスに念のためにナッツをきめておいたのですが、このナッツのお蔭で更に墜落することを止めることができたようです。北条・新村ルートが開拓された時は、クライミングシューズではなく登山靴で登られたということを考えれば、私が取ったルートは明らかに間違いであったと、もっと早く気づくべきでした。完全なる私の判断ミスです。

009早戸さん、核心ピッチリード中

 

登り返した後、アンカーを作るためにハーケンを1本打ち足しましたが、墜落で既にナッツに衝撃がかかっていることと、いつ抜けるか分からない残置ハーケンに1本新しいハーケンを足しただけではアンカーとして不安があったため、小さいものの足場もある左側に移動してアンカーを作り直す旨早戸さんに告げ、そちらに移動。上部のピナクルにスリングをかけてアンカーを強化し、早戸さんにアンカーまで来てもらいました。そこから早戸さんにバトンタッチ。私は墜落で右足を負傷したため、その後の2ピッチも早戸さんにリードをお願いし、登攀終了。18:30近かったと思います。

016岩佐墜落地点からのピッチ

 

我々が5ピッチ目を登る時点で既に17時を回っていたため、斉藤・宮崎パーティーは登攀を中止し、懸垂して奥又白池に行くとのこと。登攀終了後何とかビバークできる場所を探してツエルトを張っている時に、早戸さんから奥又を横断するヘッドランプ2個を見たと聞き、無事に懸垂下降できたのだと知ってホッとしました。(実はこれは別のパーティーで、斉藤・宮崎パーティーはハイマツテラスでビバーク。)

我々がビバークした場所は斜めになった非常に狭い所で数歩先は切れ落ちていたため、寝ている間に落ちないようにそばにあったクラックにカム2本をきめてセルフビレイ。狭いので寝返りを打つこともままならず、足も伸ばせずに膝は曲げたまま。シュラフカバーに入ることも出来ずに寒い思いをして一夜を過ごしました。   寒さのあまり2時前に起きて火を焚き、ゆっくりと朝食を取りながら明るくなるのを待ちました。夜が明けるとツエルト撤収。昨晩から他のパーティーとの連絡を試みましたが結局連絡はつかずじまい。昨日登攀できたのは我々1パーティーのみで、状況から判断して他のパーティーは直ぐに上高地に下山すると考え、早戸さんと相談した結果明神縦走は断念して北尾根~前穂山頂~重太郎新道経由で出来るだけ早く下山することに予定を変更。12時過ぎに上高地に到着しました。   3時頃曽我パーティーが上高地到着。5時半には斉藤パーティーも無事下山し、沢渡に移動。駐車場の隣にある温泉で汗を流し、帰途につきました。

■総 括■

今回は反省すべき点が多く、課題を残した山行となりました。以下箇条書きでまとめます。

1.複数パーティーで異なるルートを登攀する場合、特にメンバーに初心者が含まれる場合は、無理をせずに定着式にして一日の終わりにベースに戻ってくるようにした方が良い。

2.緊急事態が発生した時の対処の仕方が決められていなかったため混乱を招き、曽我パーティーのメンバーの皆さんに大変な心配をおかけした。予定通りに合流できなかった場合の連絡方法や、連絡が取れなかった場合にどうするのかを予め決めておくべきだった。携帯では連絡が取れなかったため、無線の利用を検討する必要あり?

3.登攀はできるだけ早く開始することが大切。初日に取り付き到着が予定していた時間よりもかなり遅くなってしまったが、その時点でメンバーの体力等も考慮し、同日の登攀はやめて奥又白池で待機、翌日登攀するという選択もあった筈。

4.CLはその時の状況でベストと考えられることを基に判断をするため、CLの指示に従うことは重要。

5.アルパインは、まずは体力。日頃から体力トレーニングを行なっておくこと。

6.荷物を担いでの登攀では、極力軽量化に努めること。

7.登山は歩くのが一番遅い人にペースを合わせるのが基本。それを考えると、今回の計画は若干欲張り過ぎ・無理がある内容であった。また、事前に参加メンバーの体力を把握しておくべきであった。

8.当たり前だが、残置ハーケンはいつ抜けてもおかしくないことを忘れないこと。

9.ルートファインディングの力を養うこと。

他にも各自反省点があるかとは思いますが、今回の山行で経験したことを次回からの山行に活かしていただければ幸いです。様々な事情から3パーティーがバラバラになってしまい、皆で前穂北尾根~明神縦走が出来なかったのはとても残念でしたが、個人的にはこれまでに一緒に山に行く機会が無かった皆さんと行動することで、山に対する考え方などを知ることもでき、有意義な山行となりました。今後の皆さんの活躍に期待します。

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