愛知県名古屋市の山岳会・千種アルパインクラブではアルパインクライミングを中心とした様々な山岳活動を行っています

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2019.09.23

吉川Kです。

旧会員の酒井さんと前穂高東壁(北壁〜Bフェース)へ行きました。

登攀に苦戦を強いられ、下山時刻が大変遅くなりました。会の皆様にはご心配をおかけしました。

簡単に報告します。

【15日】
10:20 上高地
15:00 奥又白池

【16日】
4:20 奥又白池
5:50 C沢取付
7:30頃 北壁
14:20頃 Aフェース
17:40 前穂高岳山頂
18:00 下山開始
23:20 上高地BT

【17日】
02:40 沢渡駐車場

15日

10時過ぎに上高地で落ち合い、奥又白へ歩く。
三連休の中日とあってか沢渡も上高地も人が多い。

奥又白も、いつもは3張ほどだというが、この日は10張ほどテントがあった。
ベースキャンプにしている人がほとんどの様子。

初めて来たけど、静かでいいところだと思った。
テントから見る北尾根もいい。

夜はさっさと飯も済ませて18:30には寝た。

16日

テントを出る頃は小雨。
強くはなかったのでレインは着ずにヘッデンの明かりを頼りに奥又尾根を登る。

ケルンが見えたところで奥又白沢の方へトラバース。

7月なら雪渓がびっしりついていてそこを歩けるのだろうが、9月は雪渓もなくガラガラの斜面。

一歩歩くごとに足元の岩やら石やらが崩れ落ちる歩きにくいところをC沢基部目指してトラバる。

トラバース中に夜が明け、雨も止んだ。

途中雪渓が数メートル出たのでアイゼンをつけた。
活躍はものの90秒ほどで、その後アイゼンは不要。

雪渓が終わるとC沢基部。

悪いB沢を避けてここを詰めるがC沢も悪い。

どの岩もグラグラ。掴む岩乗る岩全てを疑ってかかる。

まだロープセクションではないが緊張感があり疲れる。

だいぶ立ってきたところでC沢からインゼルを超えてB沢に入るが

立ってきたところ、もう少しでインゼルの乗越というところで右足の岩が崩れ落下。

急なザレの上を勢いのまま10mほど滑る。このまま止まらないとこの先さらに10mほどの崖。

心の中で「これはヤバイかも」と思ったところでなんとか体が止まった。

肝が冷えきった。

幸いにも手首や手のひらの切り傷で済んだ。

乗越まで上がり、安全なところで処置。

出血は多かったがやがて止まり、登攀に支障はない程度だった。

悪いB沢を詰めるとやっと北壁及びDフェースの基部。

登攀内容は調べれば多く記録があるので割愛するが、
正直どこを登っても残置ハーケンがあり、「こんな難しい?ここ違う?」と、自信を持って正しいルートを登っていると思えなかった。

遅くなった要因の1つである。

ルート取りがイマイチ自信が持てず難しすぎるから違うだろとクライムダウンしたり、いや、やっぱこっちも悪いからさっきのが正しいかと登り返したりしていた。

そして何より岩がもろい。もろすぎる。

アプローチの沢は落石の集まる場所なので浮石が多いのだが、その多さが壁に取りついてみて納得できる。

リードではお互いテイスティングしながら登るがどれも剥がれ落ちそうだし、実際剥がれるしで特に北壁では1ピッチに1時間近くかかっていた。

この脆さが要因としては大きい。

北壁5ピッチ目は酒井さんも苦労していた。
途中「ゴトッ!」という嫌な音のあとに「ラークッ!」と酒井さんの声。

次の瞬間上から大型トラックのタイヤ並みの大きさの岩が降ってくる。

瞬時に壁に体を寄せて交わしたが、ビレーしている僕の体ひとつ分くらい横をすり抜けていった。

全く生きた心地がしなかった。

岩同士が擦れる独特の焦げた匂いを残して、下部の沢では誘発して起きた岩雪崩の音が不穏に響き渡っていた。

そんな感じで、他にもソフトボールくらいの落石が人為的にも自然発生的にも起こり、常に落石に気を配りながらのビレーだった。

もう一つ。この脆さに加えて、我々が全装であったことも登攀に時間がかかった要因と思われる。

アタック装備なら繰り出せる動きも、制限された。

脆いが故にリードでは、大胆なムーブや過度な岩への信頼はためらわれたところがある。

Aフェースは北壁に比べるとかたくかったが、
ちょっぴり辛いところもあり抜けるのに難儀した。

Aフェースの1p目(上の写真)では酒井さんのセットしたキャメロット#3がトリガーマックス引きセットで、セカンドの僕は回収困難。

ナッツキーを駆使して5分ほど格闘したがビクともせず。

結局残置しました。

もし東壁登られる方いましたら回収してきてください。

そんなこんなしていたので、前穂高山頂に抜けきったのは17時40分

当たり前だが誰もいない山頂で

この後下山してもバスもタクシーもないこと、確実に深夜の下山になることを確信し、各方面に連絡を入れたのち、
急いでも仕方がないので安全に降りようと話して下山にかかった。

素晴らしい夕焼けと雲海が皮肉にも登攀終了を祝ってくれた。

とりあえず「日没前にここまで来れてよかった」と心から思った。

あの落石地獄でビバークなど考えただけで生きた心地がしない。

長い重太郎新道を降り

とっくに消灯した岳沢小屋で休み

上高地に23時20分

ダメ元でタクシー各社に1:00に釜トンまで来れるか電話したが、回答は虚しく。。。

長い長い長い歩き。

釜トンから沢渡までは荷物をデポして空身で。

2:30過ぎに沢渡駐車場到着。

実に22時間行動は初だった。

岳沢で職場に連絡を入れていたので

道中休んで

9時に帰名。
皮膚科で傷を見てもらい、午後から出勤し、、、。

酒井さんはアルパインの翌日は午前休を取るようにしてるとのことで。。。

自分としては1番怖い思いをした山でした。
その分経験は詰めたのかもしれませんが、

装備の点
ルートの点
自分の登攀能力の点

反省点がたくさんあります。

いろんな点でもう少しスキルアップして楽しいアルパインをしたいものです。
身の丈にあった登山をして、経験に裏付けられたスキルがないといけないなと、自分の甘さを痛感した山行でありました。

とりあえず、少なくとも東壁へはしばらく行きたくないです、、、。

重ねてになりますが、今回ご心配もご迷惑をおかけした会の皆様はじめ各方面の方々にお詫び申し上げます。

2019.09.23

1皮です
満月の日に、ウサギの餅つきを見ようと
兎洞(うさぎぼら)~兎岳に1人で行ってきましたが
夕方から翌朝までは曇り空で
お月さまは望めませんでした

【14日】芝沢ゲート(700m)5:20―兎洞出合巨大堰堤上6:00―9:00二俣(1160m)―12:00上の二俣(1570m)―14:00 1750m地点Uターンー上の二俣―14:30兎大滝―16:30 1900mビバーク地点
【15日】ビバーク地点5:20―8:20立俣尾根上―10:20兎岳(2818m)10:45―12:10聖岳(3013m)12:20―17:50芝沢ゲート

【14日】
3連休の初日ということもあり
真っ暗なうちに到着したのに芝沢ゲート前の駐車場はすでに車でいっぱい
少し戻って路肩に駐車し出発する

昨年の台風で林道は崩れており
2カ所で山側を迂回する道が造られている
すぐに弁天岩の所にある橋に到着
目の前の沢が兎洞の出合のはずだが
地形図にはない巨大な堰堤が立ちふさがっている
堰堤には左右に階段が付けられ、右岸側の階段で乗り越した
堰堤の上流部はしばらく河原が続く
水際を歩いて行くが
巨岩で通るのが面倒なところは一段上がったところを歩く
ところどころ、踏み跡らしきものがある

堰堤もう1基と取水口を越え、さらに河原歩き
頭上に通る林道の橋をくぐり
左岸の林道が見えなくなったらやっと深山の雰囲気になる
二俣を右に行くと、すぐにまた堰堤
その上流部には、木と木の間をロープが通されスリッパが干してあった
釣り人のものだろうか
すぐ上流の右岸には直径3mはあろうかというカツラの巨木があった
左岸にはすだれ状のきれいな滝が出てくるが、本流上は滝が全くない
地形図にははるか下(1200m)ぐらいから
ゴルジュを示すゲジゲジマークが続いているのだが、、、

流れが北向きに変わったら、滝が出始めた
3つの滝をシャワーを浴びて登る

地形図を見ると、またすぐに東向きに流れが曲がるはずだが
上流を見るとずっと北向きだ
これはおかしいと直感
どうも気づかぬまま奥の二俣(1570m)を越し
本流(右俣)ではなく左俣に入ってしまったようだ
せっかく登ったのにと、思いながら滝を微妙なクライムダウン
奥の二俣まで戻った。2時間のロス

あらためて本流を進むとまもなく大きな滝が前方を遮った
兎大滝という2段の滝だろう
水量は多く、右側は巨大なチョックストーンがはまっており
とてもじゃないが登れそうじゃない
両岸とも立っており、巻くために少し戻って樹林帯に突入
人があまり入らない沢と見えて
踏み跡は全くなかった
巻きからは2段の上の滝も見えた
壁が出てくる度に上へ上へと巻き上げられ
かなり上から大滝上流の支流に下り本流へと戻った

奥の二俣で2時間ロスしたため、
そろそろビバーク地点を探さなければならないが
両岸が迫っており適地がない
その上のいくつかの滝を越すと
流れの少し横にわずかな平坦地を見つけたので
ここで寝ることにした
鉄砲水が来れば流されてしまうが
今日は天候が安定しているから大丈夫でしょうということで
ここからはドコモの電波がキャッチできたが、ソフトバンクはバツだった
今回の山行の目的でもある満月は
夕方から霧が出て見えずに終わった
夜はシュラフカバーだけでは少し寒かった

【15日】
2日目も標高差はまだまだあるので明るくなると同時にスタート
最初に滝を越すと、右岸が崩壊していて沢はガレで埋まっていた
さらに上の滝をシャワーを浴びながら越え
トリカブトが咲き乱れる斜面に出た
あとは顕著な滝はあまりなく
立俣尾根に上がった
兎洞は名前こそ厳しそうだが易老沢よりは簡単で
大きな滝を登らない限りガチャ類は必要ないかも
ロープ、ガチャ、まわしをもちろん持ってきたが
ビバークの時に枕として使っただけだった

ここからは獣道に沿って尾根を上がる
何カ所か激しいハイマツの藪こぎとなり
兎岳まで2時間以上かかった
他に顕著な獣道が立俣尾根コルからほぼ等高線沿いに北斜面に回り込んでいたので
そちらから兎岳北方の縦走路にトラバースした方が良かったかも

稜線上は灼熱&人の波(大げさか)
兎岳から聖岳まで200m下がって400m登り
そこから駐車場まで2300m下って、8キロほどの林道歩き
肩も脚もガタガタになった

【追記】
沢の途中で墜落機のものと思われる残骸があり、中にはこんなものも

エンジンの部品、コンデンサのようなものなど多数
コックピットにあったと思われるスイッチの部品には
GE製と書かれた銘板があり
墜落機は米軍機の可能性があるのかも

試しに機関銃の部品を持ってみたら重さは30キロぐらいだろうか
沢のどの辺りに落ちているのかは書かないが
もし持って帰った場合
金属製の弾が発射できる状態と判断されれば
所持、譲渡とも懲役3年以下の銃刀法違反の罪に問われる恐れがあるので
気を付けて

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