ミヤザキです。
12月9、10日、保坂君(旧姓平田、以下この記事中は平田)とともに黄蓮谷に向かいましたが、結局広河原沢を右往左往してきました。
【9日】
尾白川渓谷駐車場7:00-9:00約1600m地点-10:00駐車場-11:30舟山十字路-12:30二俣-14:30クリスマスルンゼ-17:00二俣(幕営)
今季誰も登っていないという黄蓮谷に、敗退覚悟でチャレンジすることにしたバカふたり。ラッセルもやるつもりでワカンを装備に加えた。
未明に名古屋を出発。小淵沢IC近くのセブンイレブンで仮眠し、やや寝坊し、7時ごろ竹宇駒ヶ岳神社から登り出し。
天気は2日続けての快晴。雪崩のリスクはだいぶ減りそうだ。
平田は「これはマジ行けるっすわ!」と登頂を確信しながらノリノリで橋を渡る。
2時間後。
標高1600mあたり、雪道となった黒戸尾根をせっせと歩いていると、一人下山してきた。
上部の様子を聞く。
「七丈小屋から上は胸ラッセル」 「黄蓮谷に降りた人の話では坊主の滝が埋まっている」
予想以上の積雪状況。
「それはそれとして、行ってみるのもアリだと思うんすよね!」
と、あくまで前のめりな平田だったが、どう考えても、2日間で登って降りてこられなそう。予備日はない。
敗退覚悟とはいうものの、いざ目の前に敗退確実な情報を与えられ、それでもつっこむには、ややテンションが足りなかった。
「うーん…」と悩んだものの、こんなこともあろうかと広河原沢のルート図を用意しておいたのもあって、転戦決定。1時間で降りる。
11時半ごろ、舟山十字路到着。昨年靴を忘れたことに気づいて登らずして敗退した思い出深い場所。
幕営装備をデポし、右俣へ。適当に詰めていって、「これクリスマスルンゼ?」とか言いながら、それっぽいのを登る。
下部は雪に埋まっているし、上部はスタンスたくさんあるしで簡単だった。練習に最適。
16時をめどに引き返し、二俣で幕営準備。
初めての冬山ツェルト泊だったが、持っている登攀装備をほぼ全部駆使して、完璧に張れた。
【10日】
6:30二俣-7:00F1-8:30寄り道した氷柱-12:30最後の滝-14:30下山開始-17:00二俣-18:00舟山十字路
ツェルト泊が快適すぎて、寝坊気味に広河原沢左俣へ出発。
F1は凍ってなく釜もぱっくり。左岸の薄い氷柱(写真右)を登ってトラバースすることに。
さらに懸垂下降で沢に降りないといけなくなり、いきなりタイムロス。ここは右岸に巻き道があるのを下山時に知った。
その後は低い滝をフリーで登って詰めていくと、左側に立派な高さの氷柱が…。
とたんに平田のテンションが急上昇。
「これ登るしかないっしょ!」
まじで?この薄さ、高さ、角度…リードは絶対無理。
それでもミックス混じりに登ってしまうところが、平田がクライミングモンスターと(一部で)言われる所以。
こっちはなんとかフォローで登ったが、散々だった。
アイゼンの前爪蹴り込んだら氷壊れるわ、アックスひっかけたところも壊れるわで、テンションかけまくり。
「氷もろくて厳しい」と言うと、「ヤツの氷はもろいんすわー!」と平田。
そうなのか?ただ単に薄いからじゃないのか?と思うが、アイスクライミングを学ぶために赤岳鉱泉で2シーズン働いた男が言うのだから間違いないのだろう。
この寄り道で、時間と体力をだいぶ消費する。
さらに後半の小滝。これは絶対右から巻きやろ、ってところで平田がかぶったミックスのラインにつっこむ。
氷が薄く、スクリューではプロテクションを取れない。
なぜか一個だけ持ってきたトライカムをねじこもうとするが、「だめだ、サイズが合わない!」と断念。そりゃ1個だけじゃねえ。
最後の上部がバーチカルな滝も平田がリード。
ここは氷が硬く、腕力を消費した。
「氷硬くて厳しい」と言うと、「ヤツの氷は硬いんすわー!」と平田。
そうなのか?標高が上がって、風を受ける場所だからじゃないのか?と思うが、まあどっちでもいいや。
この滝を越えると阿弥陀岳の山頂が見える。
そこをめざしてラッセル開始。雪の深さは太ももくらい。しかし途中でラッセルを嫌がった平田が左の草付きを登り始める。
おいおい、どこまで行くんだ?と思いながらも、八ヶ岳をひとくくりにする男の経験値を信じてついていく。
すぐに、行き詰まる。
中央稜に出て、ザックデポして山頂ピストンして下山…というイメージだったが、登っているのは完全に御小屋尾根の支稜。
この時点で時間は14時過ぎ。ラッセルしながら谷を詰めるにも、隣の中央稜に登り返してから山頂をめざすにも、時間が足りなそうなので、下山決定。
最後の滝を懸垂で降り、そこからトラバース気味に中央稜に上がって、そこから尾根をのっこすように下る。
が、また行き詰まる。なんか断崖絶壁出てきた…。
空中懸垂で降りると、ハングに見事な巨大氷柱が…!
「もしかして、これ、摩利支天大滝??」とか八ヶ岳マスターが言い出す。
そうなのか?いや、絶対違うでしょ。行ったことないけど、それはわかる。
そこからさらに下ると、トレースを発見。やった、道だ!
と思いきや、「ん?これ登ってきた広河原沢左俣?」
自分たちがつけてきたトレースだった。
とはいえ、ラッセルしながらルートファインディングするより、元来た道を戻るほうが確実。時間はかかるかもしれないが、精神的には楽。
てことで、同ルート下降に切り替えて下山した。
今回は大きい滝のないルートなので30mロープ2本だったが、懸垂下降を繰り返して下るにはこれが実にちょうど良かった。
黄蓮谷は来年以降に持ち越し、広河原沢左俣も山頂まで抜けられず宿題になったとはいえ、2日間しっかり山で遊べた。
思うようにいかないことも多いが、無事に帰宅できたことに感謝感謝。