愛知県名古屋市の山岳会・千種アルパインクラブではアルパインクライミングを中心とした様々な山岳活動を行っています

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2018.08.10

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台高マニアの1皮です
今回は北アの沢に1人で行ってきました
大穴のある素晴らしい直瀑に目を奪われました

【4日】笠谷出合(国道471号沿い、標高670m)5:30~6:40 入渓地点(860m)7:00~10:00 1150m地点の滝~12:30滝の上12:40~13:00二俣~13:10最初の大滝~13;50大穴のある滝14:40~16:00 1460m地点

【5日】1460m地点4:50~7:40奧の二俣~10:10稜線2720m地点(クリヤ谷登山道)~10:30頂上10:40~14:30中尾(ママチャリ利用)~15:00笠谷出合

◆4日
クリヤ谷登山口の中尾にママチャリをデポし、10キロほど下流の笠谷出合まで移動して駐車。林道を1時間ほど歩き、谷に下りられそうな斜面があったので、獣道を通って早めに入渓した。標高860m。すると、砂地に人の足跡を発見。まだ新しいもので、釣り師が入っているのかも。
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ずっと河原歩きが続く。釜や淵もあるが、横からすり抜けられる。猛暑で水はぬるいから、泳いでもいける。逃げ場のない谷に比べて緊張感はないが、まあ、林道歩きよりはましか。標高1120mぐらいの所には、50m以上の壁が立った門のようなゴルジュがあった。遠目で見ると、一番狭いところに何か人工物のようなものが転がっている。近寄ってみたらトラックの残骸だった。上部の林道から土砂崩れで流されたのだろう。人は乗っていなかったのだろうか。
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その先で、谷は左カーブ。高さ10数mのナメ滝が出てきた。直登は無理で、右の岩場からは一段上に登れそうだが、段上がコケの着いた傾斜の強いスラブになっている。1人の場合、滝を登るか巻くか、いつも迷う。パートナーに確保されていれば、登りに集中できるが、1人だとどう確保するのかという難題がつきまとい、クライミングに集中するのは難しい。この滝も、段上にリスがなかったりカムによるプロテクションが取れなかったりすると、足が滑ったら釜まで落ちるだろう。迷った末、少し戻って手前のルンゼから大きく巻くことを選択した。しかしこのルンゼ、登っても登っても壁が続き尾根になかなか上がれない。対岸の林道の高さを遙かに超えてやっと尾根に上がり、シャクナゲや枯れた笹ヤブをかき分けて下りていく。ヤブの中には大木の切り株がいくつもあり、中には直径1.5mにもなるものも。かつての杣人はすごかったんだなあと感心。遠くの尾根には巨大な一本の木が飛び出ているのが見えた。すごい巨木なんだろうなあ。あそこまで行けないけど。ところが、河原まであと10mぐらいまで下りて来て、先ほどのナメ滝の手前に下りてしまったことを知った。もっと大きく巻かなければならなかったが、後の祭り。すでに汗だくだがUターン。急なヤブ尾根を登り返し、今度は大きく尾根を回り込んで、滝の上の河原に下りた。ゴルジュだが、そこだけ歩いて下りられる草付きだった。結局10数m足らずの滝を巻くのに2時間半かかった。
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そこからすぐに右俣と左俣の分岐点。地形図には右俣の方が太く描かれているが、笠ヶ岳の頂上に行くために左俣を選択した。間もなく、二筋に分かれた大きな滝。高さ50mぐらいはありそう。汗だくでもあり、水しぶきを浴びて修行する。巻き道は1カ所しかない。だが、大きくトラバースしていく所は下部が切れ落ちていて不安定だった。巻くためにだいぶ上がったが、河原まではヤブをこいで歩いて下りられた。
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そこからゴルジュを進み右に曲がった所にあるのが、この谷の白眉となる大穴を備えた直瀑。高さは30mぐらいだろうか。滝に向かって右手奥に幅、奥行きとも20m、高さ10数mぐらいの大穴が空いている。滝の左手にも縦に長いチムニー状の大穴があった。笠ヶ岳東面・穴毛谷には、名の由来となった大穴もあり、この辺りの岩質は固く、小さな穴が空いても全体が崩れるということはないのだろう。この大穴の中に入ってみた。急斜面は崩れやすい砕石で覆われている。右手の壁沿いから一番の壁へ。突き当たりから見ると、穴の出口に滝が落ちる不思議な光景が広がっていた。
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この滝は登れそうにないので、2つあるルンゼのうちどちらかから巻くのだろう。よーく観察し、砕石があまり落ちていない方から上がる。尾根まで上がると、次の大滝が遙かに下に見えた。一緒に巻いてしまったようだ。途中でルンゼから抜けられそうな場所が1カ所だけあったが、迷った末にやり過ごしたためだ。しょうがないので、そのまま上へ。この巻きもブッシュが生えかなりワイルド。適当なところで谷に下り始めたが、河原に下りるところで壁にぶち当たった。10mの空中懸垂で下りた。
よく見ると、太陽の日がかなり斜めになっている。濡れたウエットスーツのタッパーを干したかったこともあり、1470mの二俣の下部で泊まることにした。涅槃像が置かれる台座のような真っ平らな岩があったので、そこで荷を解く。水流から1mぐらいの高さしかないが、明日まで快晴予想だから増水の危険はないだろう。ツエルトも張らず、星を見ながら寝ることにした。しかし3時間ぐらいたった夜中に目が覚めてしまった。背中と腰が硬い岩で痛すぎる。普段、家では畳の上で昼寝するのが好きだが、畳と岩では硬さが全く違うようだ。朝まで寝返りを繰り返し、早朝3時には我慢できずに出発の準備を始めた。

◆5日
薄暗いなかスタート。すぐの二俣で右に進み、河原をどんどん進む。方角は北東から、1600mで東北東になり、あとは穴毛谷第1岩稜などが見える稜線まで真っ直ぐ続いている。1690m、1800mで右岸に支流が分かれる。谷はあくまで緩やかで周囲の峰に日が当たってくると、夏山の雰囲気が満ちてきて気持ちがいい。アルパイングレード3級ぐらいの滝が3カ所ぐらい出てくるが、ロープなしで問題なく登れる。
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途中、水の中で黒い生き物を何度か見かけた。水中で体をくねらせて泳いで(?)おり、イワナよりは遙かに動きが鈍い。そこで影を追うと、簡単に捕まえられた。ヌルヌルしていて4本足がある。模様からサンショウウオだろう。家に帰ってから調べると、絶滅危惧種のヒダサンショウウオの可能性があることが分かった。2000m近くの高山で生きていられるなんて、不思議だ。それとも、他の動物に生息圏を追い立てられて高山に上がらざるを得なかったのか。笠谷にこのまま人があまり入らず、ずっとヒダサンショウウオが生きていける環境が守られればいいが。
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谷はそのままだらだら上がる。周りの景色を楽しみながら歩いていると、谷の方角が変わったことにふと気づいた。地形図と高度計を見比べると、2000m地点でまた一つ支流が合流したようで、どうやら気づかないまま左俣に入ったようだ。合流点まで戻り、よーく観察。水量は左俣1に、右俣は伏流らしくゼロ。左俣の先には大きな滝が見え、その先は北に方角を変えている。さて、どちらに行けばいいだろうか。最近、沢登りを楽しむためトポを持たないことが多いので、自分の勘を頼るしかない。迷った末、水流のなき右俣へ。家に帰って登山大系を見ると、左俣が正解だったようだ。残念!
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そこからは3級ぐらいの岩場が3カ所、2300mぐらいで谷は北に方角を変え、2720mぐらいの稜線で登山道に合流した。下界は40度超が頻発する炎暑だが、登山道も30度超のような猛暑。たまらずザックをデポし、頂上を往復。そのまま下山し、中尾から笠谷出合までママチャリで走ってゴールした。
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